【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ43)

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第９３話ページ43

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始めてから30分ほどたっただろうか、Aのスマッシュが空いてコートに叩きつけられたところで「はい、オッケー。」と齋藤がゆるく言った。ふうと一息ついて程よく疲れた体を伸ばす。

「騒ぎも収まったみたいだね～。それじゃ、ちょっとあっちの中央のほうのコートに行こうか。」

言われて見れば、打ち合っている間に騒ぎが収まっている。結局なんだったのだろうと疑問を抱きつつも、齋藤に言われたとおり騒ぎが起こっていた反対サイドにあるコートへ移動した。

他のコートは選手達が練習で使っているにもかかわらず1つだけ使われていないコートがあった。そのコートに黒部が立っている。2人に気づいた黒部はAと目を合わせると、「こちらへ。」と告げた。

「今からあなたの暫定コートナンバーを決めます。」
「コートナンバー……！」

その言葉にAは目を輝かせる。暫定とはいえ自分の実力を測れるのが喜ばしかった。自分が日本でも優秀な男子高校生の中でどこまで戦えるのか、それが楽しみだったのだ。

どうやら先ほど打ち合いをした選手達は10番コートの選手だったらしく、それ以上は既に確定しているという。

「では相手は……。」
「俺がやる。」

周囲にいる選手達を見渡し、丁度いい選手を探す黒部に誰かが声をかけた。低く、貫禄のあるその声……そしてどことなく感じた嫌な雰囲気に少し肌がぴりっとする。顔を向けた先にいたのは肩ぐらいまである金髪が印象的な男だった。

「(あの人確か、さっき徳川さんと試合しようとしてた人……。)」

隣にいた齋藤が「平等院くん。」と目を丸くしている。平等院、それが彼の名前らしい。

「俺に相手させろ、ヘボコーチども。」
「これは暫定コートナンバーを決める試合だよ。流石に君は」

「いいでしょう。」

口ぶりからして断りを入れようとしていたようだが、齋藤の言葉を黒部が遮った。平等院の申し出を了承した黒部に、「ちょっと、黒ベエ？」と齋藤は冷ややかな視線を送る。それを気にせず、黒部は依然として飄々としていた。

何がなんだか分からず、無茶だと反論する齋藤の姿をAは訝しげな顔で見つめた。そんなAを「おいガキ。」と平等院が呼ぶ。

「お前も構わねえだろ？」

たったそれだけの言葉。それでもうちに秘められている圧に思わず肩を震わせた。徳川とは違うねっとりとした恐怖感……いいようのない、体験したことのない妙な感覚に冷や汗が伝った。