【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ42)

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第９２話ページ42

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徳川の冷たさに既にボロボロな心のまま説明を聞いた。実力によってコートナンバーが決まっており、シャッフルマッチなどを通して競い合っていくこと。試合に割り込むと強制退去になることなどなど……内容を頭の中で繰り返して必死に叩き込む。

すると、齋藤に「水瀬さん。」と呼ばれた。傍にはもう1人の職員が居る。そこへ駆け寄ると、齋藤はにこりと笑った。

「彼に宿舎内の説明と案内をして貰ってね。君は女の子で説明することも多いから少し時間がかかっちゃうと思うけど、終わったらラケットを持ってコートに出てきて。」
「は、はい！分かりました。」

それだけ言い残してふらりとその場を去った齋藤。Aは案内役の男によろしくお願いしますと頭を下げてから歩き出した。

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食堂やトレーニングスペースなどの共同スペースを見て回った後、部屋に案内された。女という事で小さいながらトイレも風呂もついた部屋である。

ひととおりの説明を終え、Aは言われたとおりラケットを持ってコートへ出た。あたりを見渡すと、金髪の男と向き合う徳川の姿が見えた。互いにラケットを握り締めており、どうやらこれから試合をするらしい。

立ち止まってその様子を眺めていると、いつの間にか居た齋藤が「こっちだよ。」とAに声をかけた。すみません、とひとこと謝ってから慌てて移動する。連れてこられたのは隅のコートだった。黒部の姿は見えず、代わりに数名の職員が居る。

「軽くプレーを見させてもらいますね。」
「はい！」

自分の実力を見せる機会。力んだ体をほぐすように軽く準備運動をしていると、数名の高校生がやって来た。

「まず彼らと打ち合ってください。これは僕達があなたのプレーをこの目で見たいという興味本位なので、程度は任せます。その後サーブの最高速度などを計らせてもらいますね。」

齋藤からの言葉に再び元気いっぱいに返事を返し、コートに入ってきた高校生を向き合う。今まで培ってきた経験をここで活かしてみせると意気込み、強くグリップを握った。

「……何か騒がしいですね。」
「そう、ですね……。」

遠くでなにやら賑わっている声がする。一体何がおこなわれているのだろう、そう考えたときに浮かんできたのは徳川の顔だった。たしか徳川と金髪の男が試合をしようとしていた……白熱した試合なのだろうか。

「まあ、僕達はやるべきことをしましょう。」という齋藤の言葉でAも割りきった。