【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ31)

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第８１話ページ31

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花に水をやっているAのもとに訪れた幸村、不二、白石の3人。テニスボールが飛んできては危ないという事でこの場所はコートから離れている。そんな場所に人が来るという想定外に少し動揺しつつも、「どうかした？」とどうにか言葉を搾り出した。

「この合宿所に花壇があると聞いてね。見にきたんだ。」
「へえ……3人は花が好きなんだね。」
「花はもちろんだけど、植物が全般的に好きなんだ。」

どちらもくすりと薄く笑みを浮かべて答えた幸村と不二。端整でどちらかというと中世的な顔立ちをしている2人をAは女ながらに綺麗だなと思った。

「そういう水瀬さんかて、水やっとるちゅーことは花好きなんちゃうん？」

「それとも当番制か？」と訛って言う白石。Aは彼からの言葉に笑って「正確に言えば違うかな。」と返すと、3人とも首をかしげた。

そんな3人に齋藤から頼まれたこと、来てみたら花の綺麗さに気づいたことなどもろもろを伝える。そうすると3人は納得したような、そしてどこか嬉しそうな表情を浮かべた。

「花はいいよね……見ている人の心を癒してくれる。」

そういって花壇の前にしゃがんだ幸村の顔は柔らかく、穏やかだった。「分かる気がするよ。」とAも花壇に目をやりながら言う。小さな規模、それでいて綺麗に咲き誇る花に心が浄化される。

「それにしてもほんま立派に咲いとるなあ……。」
「そうだね。規模が小さいのが残念だよ。」

白石も不二も、咲き誇る花を見つめる。そしてあの花が綺麗だとかもう少し日の当たるところに置きたいだとか、そんな会話を始めた。3人の姿は本当に楽しそうで、時折質問をすれば優しく答えてくれる。

なんでも彼らは同じ部屋のメンバーで、皆部屋の中で植物を育てているのだとか。今まで興味を持ったことはなかったが、花や植物というのも案外悪くないかもしれない。

「花壇の増設、一応話してみるよ。」
「本当かい？ありがとう水瀬さん。そうなると嬉しいよ。」
「Aでいいよ、堅苦しいの嫌いだし。」

同い年だもんね、と笑うAに3人の顔もほころぶ。夕食の時間が近づいたため、3人とはそこで別れた。またいつか部屋の植物を見に行くという約束とともに。

植物を通して仲良くなれた縁。なんだか不思議な物を感じつつ、Aも館内へ戻った。

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