【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ25)

今日:4 hit、昨日:18 hit、合計:163,263 hit

第７５話ページ25

・
・

ざわざわと賑わうシャッフルマッチの対戦表が張り出されたボード周辺。大きくあくびをしつつAもその対戦表を見ようと向かうと、そこに入江もいた。

「おはようございます、入江さん。」
「あぁ、Aちゃんおはよう。対戦表見てごらん。」

楽しそうにくすりと笑って入江が言ったため、疑問を抱きつつもボードに視線を移す。上から見て行くと、水瀬Aという自分の名前を発見した。試合があるという事に反応して、対戦相手の名前を見る。

「3番コート……丸井ブン太くん。」

読み上げてから丸井の姿を思い起こす。赤い髪に中性的な顔、ガムをかんでいる印象が強く様々な巧妙な技を駆使するサーブ&ボレーを得意とする選手だ。その巧みなテクニックに魅了され、実はかねてから試合してみたかった選手でもある。

そしてなにより久しぶりのシャッフルマッチ、全力でテニスが出来ることに腕がなるし胸も躍る。

楽しそうなAの横顔に「よかったね。」と笑う入江の横に、さらに人物が増えた。

「なんだ？試合あったのか、A。」
「……丸井ブン太、中学生か。」

「あ、鬼さんも徳川さんもおはようございます。」

いつの間にか居た徳川と鬼が対戦表を覗き込み言った。Aも改めて対戦表を見ると、入江も鬼も徳川も今回は試合がないということに気づく。

期待を込めた眼差しで自分達を見つめるAに、3人は顔を見合わせあった。それから互いに少し笑うと、気持ちを代弁するようにして鬼が「しゃーねーな。」と笑う。その言葉にAはより一層顔を明るくした。

今の一連の流れ、Aの期待のこもった眼差しは自分の試合を見に来てくれないか、という意味だ。そしてそれを何も言わずとも理解できるあたり、4人の信頼関係が感じられる。

「ブン太、試合があるんだって？」
「さっき赤也が大慌てで教えてきたぜ。相手は1番コートの女だろぃ？」

そういってガムを膨らませる丸井の口角は上がっていた。その目は闘志に満ち溢れているように見える。いつにもまして楽しそうなダブルスパートナーの表情に、ジャッカルも少し笑った。

初めてのシャッフルマッチでは桃城の試合を見学しており、勝ち組として残っていた丸井はAのテニスを何一つ知らない。不安もあるが、それ以上に楽しみだった。同い年で女、それなのに1番コートに居るという彼女の実力が。

「ま、一足先に1番コートに昇格させて貰うぜぃ！」
「あぁ、頑張れよ！」