【テニプリ】 U‐１７の１番コートには女の子がいるみたいです。2 【U‐１７】 (ページ3)

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第５３話ページ3

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三船からの褒美という言葉に中高生がざわついた。A自身それが何かは知らなかったが、時期から考えても1つしかない。……それはきっと、この崖を降りること。

先ほどと同じように三船は大声を上げて、中学生達に合図を出した。

「いけぇ！！」

みなが一斉に走り出す。その中で真っ先に飛び出した遠山が「ワイにまかしときやー！！」と勢いよく丘を駆け上がっていく……が、そう簡単に登れるほど甘くはない。

この丘は大きな岩の固まりで細かな凹凸が少なく、掴みどころも足のかけどころも殆どない。その数少ないポイントを見つけつつ俊敏に進む技術が必要になるのだから、馬鹿正直に駆け上がれはしないのだ。

案の定足のかけどころを失った遠山は丘から転げ落ちた。それに気を取られている間に、三船が指笛を吹く。

鷹から落とされたボールは誰にも打ち返されることなく、地面に落下した。丁度自分の足元にやって来たそれをAが拾ったのを見てから、三船が言う。

「アウトじゃな。これから朝、昼、夕と1回ずつ勝負じゃ。いいな！」

というわけで、一旦この練習と言う名の勝負はきりあげ、各々通常練習に向かうことになった。

三船に自分は何をしたら言いか聞きにいこうとしたAだったが、「ねえ。」と後ろから呼び止められる。その声から後ろにいる人物を思い描きながら振り返ると、そこには思ったとおり越前の姿。

「同時に9つ打てるんっスよね。」
「……うん、打てるよ。見たい？」

挑戦的に笑ってみれば少し眉をひそめる越前。その分かりやすさにAが思わず吹き出して笑うと、越前はさらに怪訝そうにして見せた。そんな2人の会話を聞きつけ、遠山が「なんやとー！！」と元気いっぱいにはいってくる。

「コシマエだけずるいわ～！姉ちゃん、ワイともテニスしてぇな！」
「別に、同時打ち見せてもらうだけだから。」
「キミ達元気だね～。」

どこまでも元気な2人に笑いつつ、彼らについて練習場所へ向かう。昨晩鬼と徳川から聞いていた、越前と遠山が同士討ちの際ダブルスで鬼と徳川に挑んだことに。結果、敗れてこちらに来ているわけだが……スーパールーキー、その言葉が似合う2人だ。

これでまだ中学1年生と言うのだから本当に恐ろしい。彼らの伸び白は計り知れない。

「(崖を降りる頃には……負けちゃうんだろうなあ。)」

それはそれで悔しいな、なんてAは心の中で笑った。