am11:05ーhitting onー ページ11
『チェス、乗馬、ヴァイオリン、IQテスト、将棋……私的には勉学よりもこういったもので競いたいものですね』
だって自分が知識と計算能力で負けるわけが無いのだから、そうAは考える。公平に戦うならば思考力や表現力をきそうのがいちばん良い。
『俺も同意だ、そんなもので戦っても意味はないように思える』
そんなチンケなものでは自分達の能力は測りきれない、そう含み笑いを浮かべ浅野は追加で注文した珈琲に口をつける。
似たり寄ったりな二人はしばらく喫茶店で話し合い、会計を済ませて店を出た。
『早いですが別にこれで解散で良いですよね』
『ああ、別に何も無いしな……じゃあな。定期試験の結果が楽しみだよ、E組さん』
『ふふ、そうですね。私もとても楽しみですよ』
二人はそう言い、喫茶店の前で別れた……はずだったが、二人とも互いの家がある駅の北口ではなく何故か南口から出る。
浅野の歩幅が早いのを除けば、先程あそこで別れた意味がよくわからないほど曲がる角もおなじ。
互いにそれに気づきつついつ道が逸れるのだろうと気まずさとともに気を張っていたら、Aの足音が大きく乱れる。なんだと浅野が少し視線をやると、二人組の軟派そうな男子がAに絡んでいた。
『
『
よく観光客は心細いためナンパしやすいと言う。
Aの褐色の肌と異国の顔立ちに彼らは観光客だと目処をつけて声をかけたのだろう。
Aが無視をしてそのまま歩こうとすると、二人組は諦めずに一歩距離をつめる。
『
Aは面倒くさいと思いつつわざわざ英語で返すが、二人組はそれに気を良くしたのかこれからどこへ行くの、だの電話番号を交換しないかだのと声をかけ続ける。
すっかり進行方向へ進めなくなったAがしぶしぶ二人組と向き合ってあしらおうとしていると、背後からAの肩に手がおかれた。
『
流暢な英語で喋る手の主は浅野だった。
二人組は一瞬怯み、誤魔化すように笑いながらAに伸ばしかけていた手を引っ込めた。
『僕の連れになにか?』
浅野は爽やかに微笑む、キラキラとしたオーラのある王子様スマイルだが、隣で静かに分析するAは浅野の笑顔が偽物だとは直ぐにわかった。
『
am11:15-encounter-→←am10:30-chess time-
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作者名:天泣tenkyu | 作成日時:2019年6月14日 22時