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ページ8

「きこえる…………っ」

「言語障害なし。痛みと末端に激痛……」

もはや荒く息をするのに精一杯でうめき声以外の声が出ない。
指先から始まったその痛みは次第に鋭くなり、全身を縫われるような痛みに変わる。

「指先にただれ。……ガレスさん、A王女が身につけていたものに毒が付着している可能性があります。状態を見るに即効性、過去数分間に王女が触ったものを教えてください」

「指先だけなんだろう? 恐らくこのリボンか箱の蓋の側面だ」

「わかりました……ガレスさん、手袋をかしてください」

「あ、嗚呼」

リュウが大きすぎるその手袋をはめ、白い小箱を手に取る。
青のリボンを手袋越しに触り、手袋を風にあおいだ。

「____ジギトキシンだ」

そこまで聞いて、私の意識は闇に溶けた。

+++

痛みを感じる。

指先から削られていくような感覚。
燃えるような熱さ。

これは、きっと、悪い夢だわ。
目を覚まさないと、いけないのに____。

目を開けようと力を入れれば、湖面に光がさすように暗い世界にわずかに光が広がっていく。

「姫、お目覚めにっ」

「A王女!」

焦ったような声が鼓膜に響く。
聞きなれたガレスとリュウの声に、ほっと胸を撫で下ろす。
何があったのか聞こうとしたけれど、声がかすれてうまく出せない。

「無理してしゃべらないで……今はとにかく寝てください」

熱くなっていた頭にひんやりとした布が乗せられる。
汗だくで、体が冷たい。

私は薬草畑でリュウを見つけた時に倒れてしまった。
ただの疲れから来る発熱か、もしかしたらなんらかの流行り病か。
五体満足なのか、後遺症は残らないのか。

政務に異常は?

だめだ、埒が明かない。今の私には何も判断することは出来ないし、早く寝るしかなさそうだ。

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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです!( ^ω^ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天泣 | 作成日時:2017年11月29日 22時

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