7時間後発熱 ページ33
「いいですね、とてもきれいですし私も気になります」
「あら、じゃあ身分証の宝石を付け替える？ 私の騎士団の団長に渡すのもありかしらね、私直属の部下だってすぐにわかるわ」
「では完成を楽しみにしております」
「ええ……と、ここまで話したところで、ちょっとさっきから景色がゆがむから、報せを薬室まで届けさせま、しょう、頼んだわ……」
ぷつりと何かが切れたように、私は長椅子に倒れこむ。
寒かったはずの体感はすでに熱く、ぼうっとし始める意識の中包み込まれる感覚。
「なんとなく察してましたよ、茶と一緒に報せは届けさせたのでもうじき来るかと思われます」
「有能な部下がいて何よりだわ」
「おほめいただき光栄です、私室へお運びします」
ガレスは私より私のことを解っているみたい。
ほんと、ガレスがいて助かった。
廊下を足早に私を抱えて歩いていくガレス。
安定感があって、温かい。
こんなの柄じゃないけど、小さい頃を思い出す。
ジャスミンの香りは、ガラク先生と同じ。
「いつも、たすかってるわ」
そうつぶやくと同時に、私は熱の向こうに意識を手放した。
＊＊＊
姫は、いつも何かを一人で抱え込もうとする。
時折見せる奔放な年相応な姿に安心してしまうほどに、危うい。
胸の内を吐露することも少なく、人前では模範的な態度を保ち続ける。
そんな姫に、リュウという友人ができた。
仲良さげに談笑し、よく薬室まで顔を出しにいくほどだ。
ボードゲームに、お互いが知る薬草学などの知識交換。
ここまで姫が生き生きと過ごしているのを見るのは久しぶりだった。
そんな表情を自分が作って差し上げられたなら……そんな風に思ってしまうことは悪いことだろうか。
だってそれは、リュウが姫の隣に入れなくなったとき自分では姫を心の底から支えられないということになる。
だからこそ、リュウと姫がこの先光の当たる道を歩んでいけるのかと心配になってしまう。
彼らがお互いに好意を持っていることは明白。
姫が彼を連れて行くというのならば、全力で手助けしなければならない。
だが、幸せな結末を願うには彼らにはいささか障害が多すぎる。
王位継承権三位の王女は政治の駒として政略結婚をさせられるほかない。
近ければ自国、他国であるとすれば隣国のラジ王子。
最も、イザナ殿下がこんなにも優秀な駒である姫をそう易々と手元から出そうとするとは思えないが……。
この腕の中で眠る姫に、どうか幸せな未来を。
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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (
レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣 | 作成日時：2017年11月29日 22時
