閑話-紫水晶の姉- ページ14
それからというものの、薬室に来る回数も増え、応接室経由で研究室に顔を見せることが多くなった。
ただ仕事の邪魔をするのが本当に申し訳ないので、何があっても不敬罪には問わないと一筆したためた。
毎度毎度もてなされていたのでは向こうもこちらも気が休まらないだろう、服装も落ち着いたものを選んで着て行くようになった。
ただ最近はガラク薬室長の妹にでもなった気分だ。可愛がり方に遠慮がなくなったというか……まあ向こうにいた頃から交流はあったし彼女も貴族らしくないところは多いからいいのだけれどね。
「ねえ、ガラク先生」
ある日、癖でガラク薬室長のことを先生と呼んでしまった。
「あ……」
「フフ、お茶会が増えて昔の感覚に戻ってしまいましたか？」
「恐らく……お恥ずかしい限りです」
思わず頬を染めると、意外と言わんばかりの声色でリュウが尋ねてくる。
「え……薬室長って、A王女の先生だったんですか？」
それを聞き、ガラク薬室長は得意げに頷いた。
「ええ、短い間だったけれどね。殿下はもともと植物学に興味があって、街で研究していた時にお願いされちゃったのよ」
「ガラク先生からは沢山学びました、そういう面ではリュウの兄弟子みたいなものなのかしらね、私なんか全然足元にも及ばないけれど」
カラカラと笑って、昔の思い出に浸っていると、ガレスが口を開く。
「私も元々姉経由で姫のことを知っていたんですよね、褒めちぎってましたよ。それもあって私が側近に選ばれた時の姉の悔しそうな顔といったら……」
「そりゃ悔しいわよ、かわいいかわいい私の生徒がこんな愚弟に任されるなんて！」
「おふた方……」
静かに言い合いを始める姉弟を宥めようとしていると、リュウが可笑しそうにかすかに笑っていた。
「A王女はすごいですよ……とても慕われていて」
花が咲きほころぶような笑み、余韻を噛み締めているようなリュウの姿。
「わ、私もリュウのことを慕っていますから！」
私はこんなにも彼の眩しい笑顔を見ても良いのだろうか。ここ数日で若干無愛想なイメージの彼が崩れていくのを感じた。
彼が笑う度に胸が高鳴るのはなんでだろう。
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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (
レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣 | 作成日時：2017年11月29日 22時
