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「え、はい、まあ……」

いつの間に伊作さんとそんな話を。

「どう?不運で困ってない?」
「ああ……」


仙蔵さんは巻き込まれ不運、なんて言っていたけれど。
さっきのあれは私が勝手に心配してその不運に飛び込んでいっていただけだ。


「…私は困ってないです、けど」
「けど?」
「ちょっと見ていて不安かもしれないです」
「ああ、わかるよその気持ち…」


哀愁漂う雑渡さんの表情に改めて伊作さんはじめ保健委員の不運って……と思ってしまう。



「…でも君が思うより強いよ、彼ら」

「え……」



目の前の組頭は自信ありげに私に笑いかける。



「特に伊作くん。流石は忍たまの六年生だからね。度重なる不運に見舞われてもへこたれないし、いざと言う時自分も周りも守れる強さを持ってる」



「……そう………ん?」

ごもっともなことを言っている雰囲気にそうですね、と言いかけて、ボールを顔面で受け止めた伊作さんの姿を思い出した。



「……そうでしょうか……」
「え?」
「いや、先ほど……」



私はその時のことを雑渡さんに話す。




「ああ、そのこと」
雑渡さんは既に知っていたようで、「伊作くん顔に赤い跡つけてたから、どうしたのって聞いたらそう教えてくれたよ」

そしてははは、とおかしそうに笑った。





「私が言ったのはそういう場合の事じゃなくて、もっと重大な時のことだよ」
「重大な…」

笑うのをやめて、そう、と低い声で頷く。






「例えば、命が懸かってるとか」





見える片目はなにかゾッとするものがあった。

私の瞳の奥を除くように見つめて放たれたその言葉の重みが、ずしりと私にのしかかる。


少し怖いくらいなのに何故だか目が離せないでいると、雑渡さんの方が先にその目を伏せた。





「いや、違うかな。
顔でボールを受けたのは不運だったとしても、それは君を守ろうとしてのことだろう。

咄嗟のことにきちんと判断して動けるのだって強さだ」



「…」



「だからと言って彼を心配するなと言うわけじゃないけどね。確かに危なっかしいところはあるし、助けが必要な時もある」


雑渡さんは腕を組んで自分の言ったことに自分でうん、と頷いた。




「むしろ心配なのはAちゃんの方じゃないかと思うんだ」

「…私?」

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作品ジャンル:アニメ
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加糖雪(プロフ) - 犬さん» コメントありがとうございます。お待たしてしまって申し訳ありません…また少しずつ更新していけたらと思うのでよろしくお願い致します! (2022年11月6日 0時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - このお話の続きが楽しみです。更新楽しみにしてます。 (2022年3月24日 8時) (レス) @page27 id: f57686b26e (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - レン。さん» レン。さんコメントありがとうございます。学園の人達と関わっていく中で、夢主がどう変わってどういう選択をしていくのか見届けていただけると幸いです。今後もこの作品をよろしくお願いします…! (2022年1月16日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - れなさん» れなさんコメントありがとうございます。感想をいただけてとても嬉しいです。ゆっくりとですが更新再開してますのでどうぞよろしくお願いします( ᵕᴗᵕ ) (2022年1月16日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
レン。(プロフ) - これからの夢主ちゃんがどうなるのか気になります!!気長に更新待ってます! (2022年1月16日 4時) (レス) id: 6501380a5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年7月25日 4時

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