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目が覚めた。


(……朝か…どこだっけ、ここ…)


のそりと起き上がる。


(そうだ、私…忍術学園に来て…)


ぼんやりしながら昨日一日であった出来事を頭の中で思い出していく。




布団の上から部屋をぐるりと見回してみる。

(まだ薄暗いな…早かったかな)


昨日はほぼ一日寝ていたからか、朝方の早い時間に目が覚めてしまったみたいだった。



私は寝間着のまま、髪の毛を適当に手で梳かして布団から出る。



自分の身体の包帯と枕元にあるピンク色の着替えが目について、沈んだ気持ちになった。



(あんまり、気にしないようにしよう…)


周りにできる限り迷惑をかけないように。


自分の目的はしっかり果たす。





私は布団を畳んだあと、昨日山本さんが置いていったピンクの忍び装束に袖を通した。


黒いインナーを先に着て、その上からピンク色の上着を着る。

私の肘あたりまでの長さで7分袖になっていた。
着物や寝間着と違って、右腕の包帯が心なしか目立つ。



足に包帯を巻いていることもあってか足袋は用意されておらず、私はそのまま上着と同じ色の袴を履いた。

保健委員の人達や留三郎さんが着ていたものと形がよく似ている。
違うところといえば、頭巾と手甲、足袋が無いことくらいだった。





(最後に腰にリボンを付けて…着方はこれで合ってるかな…)

とりあえず着替えてみたものの、村でごく平凡に生きていた人間にとって忍び装束なんて縁のないもので、正しく着れているかどうかわからない。

なんとか勘で形にしてみたが、正しい着方をあとで山本さんに聞いてみよう。






「…そうだ、手紙」

勝手に部屋から出るのも良くないし、今できることをやっておこうと思い立つ。


私は机の上に置かれている紙と筆を見た。

けがのせいで正座はできないから、机と平行に足を伸ばして座って、体だけ机と向き合う。



ここで文を出すのはやめてください、なんて言えば怪しまれるのは確実だ。

でも宛先を聞かれても答えられない。

引き取ってくれるところはありません、と正直に言えば、「じゃあなぜあの時早く帰りたがったのか」となる。



その理由を説明ところで、はいどうぞと学園から出してくれるようにも思えない。

むしろ引き止められてしまうだろう。
この学園のあの人たちであれば、絶対に…



(どうしよう…)

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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時

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