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そんなことをして一体何になるのだろうか、とは思いながら、しかし優しさを貫き通す彼に私は息が詰まりそうな思いだった。
私は量が少ない、の言葉通り少し小さめのおにぎりを2つ、きちんと完食する。
「保健委員の子たちから話は聞けたかしら」
私が昼食を食べている間、ずっと傍についている山本さんが食後に残りの茶を啜る私に訊いてきた。
「…はい。忍術学園の話を一通り…」
「それは良かった。賑やかな反面少し騒がしいところもあるけれど、忍たまや…機会があればくのたま達と仲良くしてくれると嬉しいわ」
「…」
仲良くする気も無ければ、早くここを出ようと考えている私は黙ったまま頷いた。
この人たちは、私をどうしたいんだろう。
浅い考えが浮かんで消えた。
*
することもないまま、畳まれた布団の上で横になってただぼんやり過ごして夜になった。
唯一山本さんが、夕方の授業終わりと夜ご飯のとき にこの部屋へ顔を出しに来た。
そして先程もやって来て、寝間着に着替えるように言って「おやすみなさい」と立ち去ったばかりだ。
山本さんが敷いて行った布団に横になる。
だが、いくら布団を被って目を閉じていても眠れない。
やがて私はゆっくり起き上がった。
(…少し、風に当たろうかな)
私は部屋を出た。
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時