きっと息をやめるまで 2【RKRN】 (ページ31)

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部屋に慌てて戻ってから、私は横になってそのまま動けずにいた。

本当に、自分の身体のどこにも不調なんて感じないのだが、また倒れたりしてしまったら厄介だと思ってじっとしている事にしたのだ。

(万が一倒れて、ここを出る日が先に延びたりするのは避けたい…)

何か思考するのにも疲れて、何もせずぼうっと布団のシワだとか壁や天井だとかを見つめている。

そうしてどのくらい時間が経ったのか、背にしている障子の開く音がした。

私はびっくりして飛び起きる。

ただでさえ体調の悪そうなところを人に見せる訳にはいかないのに、と慌てて振り返ると、そこには山本先生が立っていた。

「Aちゃん、お昼の時間よ」

そう言う山本さんの手には、朝と同じお盆が握られていた。

「もしかして横になっていたところだったかしら？食べるのはもう少ししてからでも構わないわよ」
「大丈夫です。お腹が空いてるので今いただきます」
「わかったわ」

山本さんはこちらに微笑みかけながら部屋に入り、机の上にお盆を置いた。

「お昼はAちゃん特別メニューでおにぎりよ」

お盆の上の皿の上にはおにぎりが2つと湯呑みに入ったお茶が並んでいる。

「特別メニュー…」

ランチはAとB、2種類が用意されているんだったっけと聞いた話を思い出しながら私は呟いていた。

「保健委員会委員長の善法寺伊作くんが
“朝ごはんを一緒に食べた時にAちゃん箸が使いづらそうだったから、手で持って食べられるものがいいんじゃないか”って
食堂のおばちゃんに提案していたみたいなの」
「…え？」

思わず山本さんの方を見ると、山本さんはなんだか自分の方が嬉しそうに「よかったわね」と笑った。