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忍術学園を探して山の辺りを彷徨い、また数日が経った。
色んな人に忍術学園の場所を知っているか聞いたが、やはり知っている人には出会えなかった。
聞いた人数は20を超えてから数えるのを辞めた。
身体は無理矢理にでも動かしてたせいか、それなりにまだ痛むもののだいぶ自由に動くようになっていた。
しかし私は食べるものに困った。
水もはじめは途中で川を見つけては竹筒に水を汲んでを繰り返していたのでなんとかなっていたのだが、お腹がすいて動けなくなってくるとその川を探す元気もすっかりなくなってしまったのだ。
痛み止めも無くなって、今度身体のどこかが猛烈に痛み始めたりなんかしたら本当に動けなくなる。
夜。星だけは相変わらず綺麗に見えた。
草むらに寝転がりながら、次目を閉じて、もう開けることがなかったらどれだけ楽かと思う。
だが私に幸運は訪れてくれないようで、こんなに綺麗な星で溢れた空は流れ星を流してはくれないみたいだった。
せめて願掛けくらいさせてくれたっていいじゃないか。
生きるのを辞めたいと思うことも、忍術学園を探すことも、諦めろと神様が仰っているのかもしれない。
ああそしたら、山を降りて職を探さないといけないのかな。
やっと現実を見始めた私は、そんな現実から目を背けるようにまぶたを閉じた。
忍術学園を探し回るのも、ここらで潮時だとなんとなく分かっていた。最初から無謀でしかなかったのだ。
お礼を伝えたいなんて____
「忍術学園の保健委員…」
*
私は目を開けた。
木々の隙間から青空が覗く。
鳥の鳴き声が聞こえる。
私はゆっくり身体を起こすと、すぐ横に置いていた荷物と私の体を支える木の枝を持って、それから立ち上がった。
「あれ、私森の中の草むらにいたはずなのに…」
立ち上がって木々の向こうに見えたのは、何かの建物の塀だった。
寝ている間に歩いた…なんて、あるわけないし、でもどうして?
考えながら木々を抜けると、目の前を左から右に通る広い道が現れた。
さらにその道を挟んだ向こう側には、先程から見えていた塀。
視線を左側に滑らせると、扉…いや、門になっているのが見えた。
人、がいるなら話を聞いてみるべきだろうか。
ううん、きっとそうだ。
私は門の方へ歩いた。
そして、門の扉を叩こうとして目に飛び込んできた文字。
「忍、術学園……?」
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加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時