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山本さんにお姫様抱っこをされ、風呂場に運ばれると「はい、到着」と私は優しく降ろされた。
困惑したままお礼を言うと、
山本さんは続けて
「これは体を拭く時の布と寝巻き。サラシもあるからお風呂上がりに着てね。私は外で待っているから」
とどこからか出した真白い寝巻きと帯を押し付けて、あっという間に去っていった。
1人になった私はそこで、すっかり汚れてしまった着物を脱ぎ、まだ巻き直して貰ったばかりの包帯と顔のガーゼを外した。
自分の包帯の下をちゃんと見るのは初めてだった。
右腕は全体に火傷。両足は村で逃げ回った時裸足だったせいで足の裏から足の甲まで傷だらけ。
左脚のふくらはぎのあたりと、左脇腹には矢か銃をかすめた跡があった。
救護所で目を覚ました時みたいに、何もしないでいても物凄く痛いとか、そういうのはもうなかったけれど、見ているだけであのひどい痛みがぶり返してきそうだった。
いくら自分の身体の傷とはいえ目を瞑りたくなる。
日がだいぶ経っているのと、伊作さんの手当が良かったからか傷はほとんど閉じていた。
伊作さんには「ちゃんと傷が閉じてたら湯船に浸かって大丈夫だけど、無理はしないでね」と言われていたが、これなら入れそうだと思った。
外した包帯やガーゼにも血はついていない。
いや、そもそもの傷が浅かったのか。
(こんなとこばっかり運が良くたって、私には不運でしかない…)
村で逃げた時も、忍術学園に来るまでも、とにかく必死でその時のことをあまり覚えていない。
ただ、火傷や左脚と脇腹の傷の他に、小さい擦り傷とかかすり傷が沢山あって、それが道中の過酷さを物語っていた。
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加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時