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皆からの視線の温度が冷たくなるのを感じながら、私は口を開いた。
「助けていただきありがとうございました。
保健委員の方たちにはとてもお世話になり、どうお礼を申し上げたらいいか」
「いいんじゃいいんじゃ。して、お主は学園へは何をしにきたんじゃ?」
私は姿勢を正した。
しっかりしなくては。
「私の村が奇襲に遭い、そこでけがをした人たちを手当てしてくれたという方にお礼を伝えに来ました。
私はその方の手当てのおかげで、こうして…生かされております」
私は深く息を吸って、学園長さんを真っ直ぐ見つめる。
「その方について忍術学園の保健委員、と聞いていたのですが、先程それが善法寺伊作さんのことだと分かりました」
私は伊作さんの方へ体を向ける。
「改めて、伊作さん。手当てしていただきありがとうございました」
深々と頭を下げる。
自分の髪の毛が前に流れて視界にちらつく。
顔が見えないまま、「どういたしまして」という伊作さんの優しい声が頭上から聞こえた。
私は頭を上げて続ける。
「私は…途中で道に迷い、忍術学園に辿り着くまで時間がかかったせいで食料が底を尽き、倒れてしまいました」
ついさっきまで必死に考えていた嘘を並べる。
けど道に迷ったのは事実だ。
ひたすら忍術学園への行き方を聞き込みをして、山の方へ歩いて…
…あれ、そういえば私はどうやって忍術学園に辿り着いたんだっけ。
(いや、今はそんなことを考えている場合じゃない)
「そこもまた忍術学園の皆さんに助けていただきました。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
二度も助けていただいて、本当にありがとうございます」
もう一度、私は頭を下げた。
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加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時