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「だ、誰か!」
忍術学園へやってきたお客様である少女。
彼女に入門票にサインを貰おうとした事務員の小松田は叫んだ。
サインを貰おうとしたその少女が目の前で倒れたからだ。
「誰かあ〜〜!!!」
忍術学園の中へ戻るべきか、でもこの倒れた人から目を離していいのかわからず涙目になりながら、小松田はおろおろとその場を行ったり来たりする。
そこへ叫び声を聞いた土井先生が駆けつけた。
「何かあっ__」
「ど、土井先生!!」
小松田は土井先生の言葉を遮りそのまま抱きついた。
土井先生はおいおい、とそれを剥がしつつ事情を聞く。
「入門票にサインを貰おうとしたらこの子突然倒れちゃって…!」
「!」
土井先生は倒れた少女を見ると、素早くしゃがみこんで肩を掴んだ。
「君、大丈夫?聞こえる?」
少女に呼びかけるが、返事どころかぴくりとも動かない。
土井先生はそのまま少女を仰向けにさせる。
少女は包帯だらけの姿であった。脚と腕に片方ずつ巻かれた包帯は土で所々茶色く汚れている。
彼女の傍に転がる杖が、その脚では十分に歩けないのだということを示していた。
さらに顔にもけがをしているのか、布が当てられている。
「この子は一体全体どうして…」
「土井先生、一体何が」
「山田先生!」
同じく小松田の叫びを聞いて駆けつけた山田先生に、土井先生は「小松田くんがサインを貰おうとしたら倒れたみたいで」と手短に説明する。
倒れる少女を見た山田先生は、いつもの誰かのドジから起こるトラブルなんかとは違っていたことに驚き、どうするか考えた。
「意識は」
「ありません。さっき呼びかけてみたんですが全く反応無かったです」
「そうか…」
学園の中の門の近くには、何事かと様々な学年の生徒たちが少しずつ集まり始めていて、皆遠巻きから様子を伺っていた。
1人の生徒もまた、何があったのかとこの場所へやって来ると、ひそひそ声が騒がしくなっているやじ馬には加わらずに足早にその先へと進んだ。
「山田先生」
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加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時