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血筋でも誰かから受け継いだわけでもなく、彼女という存在が、ただ1人で力を生み出した。
本人曰く、“絵を描くことに呪われた”。
つまり、おそらくは異例中の異例。
彼女に秘められた呪力とその可能性を、
彼女が最大限に自身の力を発揮出来るようになったら。
僕はそれを見てみたい。これは完全な私欲だ。
でも、だからこそ、彼女の可能性について今は黙っておく。
彼女が力を使いこなせるようになれば、そのうちその呪力の存在は嫌でも知れ渡ることになるだろう。
“…五条悟。忘れたのか。乙骨憂太に憑く祈本里香を狙った呪詛師の事件があったことを。もしも、あれと同じような事態が起きたらどうする”
“その時は、責任取って僕の首差し出しますよ”
“足りないな”
“やだなあ。彼女の首は取れませんよ。
それに。
────僕が
*
先手を打っていたことと、大まかには似ている乙骨の件があったことは少なからず今回の件を押し通す要素にはなってくれたようで、
兎にも角にもそんな感じで、Aの秘匿死刑は免れた。
きっと「見送っているだけだ」なんて言い出すに違いないだろうけど、そんなのはいい。
彼女が成長を遂げてくれれば、上の連中なんてすぐに黙る。
「集合場所は昨日と同じところね」
「了解です」
刀を両手で握りしめた彼女は僕を見上げた。
「では、失礼します!」
「いってらっしゃーい」
ふんわりと風が流れる中、Aはこちらに背を向けて元気よく駆けていく。特級呪霊を引き連れて。
柔らかい風の波に呑まれながら、その背中を見送った。
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時