【文スト】文豪さん、反応記録帳。五冊目

＊童話パロ 貴女がガラスの靴を落として急いで帰った ページ28

「ｯ…御免なさい、もう帰らないと…！」


中島敦
「え、あ、あの！」
門から飛び出した貴女を追うと、階段には硝子の靴が片方のみ置き去りにされていた。
「…この靴に合う人を探せば…」
役人の驚いた顔になんか目もくれず、来ていた高級な宮廷服で硝子の靴を包み込んだまま、スタスタと自室に戻る。


太宰治
「おや、如何したんだい」
弾かれたように城を出ていく貴女を不思議に思って外に出てみると、硝子の靴を見つける。
「美しい靴だ…私のお姫様」
静かに呟くと、舞踏会に戻る。
だけど、心ここに在らず。


国木田独歩
「ま、待ってくれ！」
伸ばした手が空を切る。
慌てて追うと、そこには持ち主が居なくなった硝子の靴が。
使用人の元へ行き、「この硝子の靴の持ち主と婚約する」と仰天発言。
使用人が目をまん丸にしていることなんか、目に入らず。


福沢諭吉
「……」
突然身を翻して去っていった貴女に、呆然とする。
「舞踏会はいつ終わる」
近くの使用人にそう声を掛ける。
早く持ち主を探したいけど、御付き合いもあるので確認をする。
「…一体何処に」


江戸川乱歩
「待って」
食事を終え、これから踊ろうという所で外へ駆け出していく貴女。
彼の力でそんな事はお見通しだった様で、貴女を引き留めるものの、必死に抵抗する貴女に、何だか申し訳無くなってきて、手を離してしまう。
ぼーっと走り去る姿を見ていると、取り残された硝子の靴が。

→→←→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す