轟さん家の親子事情 �� ページ38
.
｢……やっぱりか。｣
風呂から上がって部屋に戻ったら、一足先に焦凍君が眠っていました。
俺達は職場体験中の1週間、此処エンデヴァー事務所に寝泊まりをする事になっている。空いている仮眠室を借り、そこを1週間2人の部屋にしたのだ。勿論日中は職場体験な為、ほぼ寝る為だけの部屋である。仮眠室のベッドは横並びに2つ。間に電気スタンド。ホテルか。
昨夜はお互い大した業務が無かった為、そんなに疲れる事も無くUNOをして寝た。勿論、1つのベッドでだ。職場体験が焦凍君と同じで本当に良かった。A組は総じて俺の不眠症を理解してくれているので、一緒に寝てくれる。
しかし、今日はそれなりに疲れた。一刻も早く寝たいという気持ちを何とか堪え風呂に向かったのだが、先に行っててくれと言っていた焦凍君が中々来ないなと早めに上がり部屋に戻ってこれば、案の定寝落ちていた。
いや分かるよ、眠いよね。俺だって今すぐにでも隣に潜り込みたいし。兎にも角にも、このまま寝せて明日困るのは彼だ。ゆさゆさと控えめに肩を揺さぶり、耳元に口を近づける。
｢焦凍君。起きて。お風呂入らなきゃ。｣
｢んん……、｣
唸るものの、むず痒がるだけで一向に起きようとしない。こんなにもあどけない寝顔を見せられてしまうとそのまま寝せてやりたくなるが、汗だくのまま寝るのは汗疹の原因になる。心を鬼にし、再度強く揺さぶってみた。
｢しょーうとくん。ふーろ。汗疹んなっちゃうよ。｣
｢……んぁ、…？｣
ようやっとゆるゆる開かれた瞼に安堵する。目を擦りつつぼんやりとした表情で起き上がる彼の頭をひと撫でし、風呂場に行くよう促す。のそのそと風呂場へ向かう背中を見送り、がしがしと濡れた頭をタオルで拭いた。……今日は正直に疲れた。明日は職場体験3日目。ステインと、会う。
じっと己の掌を見つめる。僅かに震えているのには気付かない振りをして、ぐっと拳を作った。本編で3人が作る筈の友情に水を指す気は無い。俺がするのは、3人の怪我の軽減、補助。そして、俺が居るというイレギュラーを少しでもプラスに変える為、全力で戦う事。守り切ると再度胸に誓い、乾いた髪へ適当に手櫛をかけベッドに寝転ぶ。
｢……A、｣
｢んぁ、おかえり。髪乾かした？｣
｢ん。歯も磨いた。｣
｢よっしゃ、おいで。｣
控えめに開けられた扉から此方を見つめる焦凍君を手招く。掛け布団を捲り両腕を広げ、そこにすっぽりと収まった彼を抱き締め背を撫でた。おやすみ。良い夢を。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 464人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
じゃがりこ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2018年11月4日 15時) (
レス) id: f3618771b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ。(プロフ) - ゆーとさん» ああ、ごめんなさい！教えて下さりありがとうございます！ (2018年9月27日 15時) (レス) id: 819d312a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーと - とても面白く、一気読みさせていただいているのですが、Re:インゲニウム�△�｢OはOでも〜｣とありますが、AOはA型、BOはB型になり、O型になるのはOOだけですよ (2018年9月27日 15時) (レス) id: f375cefe03 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ。(プロフ) - 瑞稀さん» ありがとうございますー！そう言って貰えて嬉しいです…！頑張ります！ (2018年4月30日 21時) (レス) id: 819d312a56 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - いいところで…！！！夢主くんの性格大好きです！！今後どーなるのか気になります！更新楽しみにしてます！！ (2018年4月30日 21時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきねこ。 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年2月23日 2時
