真夏のお前は罪な太陽 ( 緑×橙 ) (ページ5)

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5. 味方ページ5

( orange side )

声のしたほうを向いたら、訝しげな表情で俺のこと見つめてた。

「...裕ちん？」

その人の名前を呼ぶと、彼は俺から目を離して前を向いて、

「またなんか溜めてそうな顔しとったから」

それだけ言うと、何も無かったかのように前にいるマネージャーと話を始めた裕ちん。

不器用で恥ずかしがり屋だけど、俺に何かあると真っ先に気づいてくれる。
それだけでも優しくて引っ込んでた涙がまた溢れそうになったから、もう何も考えまいと、ロケに向かう車内の中で俺はそっと目を閉じた。

ロケも一応、なんとか無事に終えることができた夕方。帰りの車内でまた背中をシートに預ける。

カメラが回ってない時は気が抜けてしまって、皆の見えない所に隠れては、ぼーっと思いに耽ることが多かった一日。その時はいつも裕ちんが度々肩を叩いてくれたり、ぶきっちょな言葉で励ましてくれたりしたのだった。

『何があったか言わんでええけど、俺はずっとマルの味方だから』

って、また俺ではなくべつの場所を見つめながら言うてくれたのには堪えた。
裕ちんはこういうとき、いちばん心強い仲間だった。

____どうして俺はこの人を選ばなかったんだろう、と何度も後悔してしまうくらいに。

その数日後の今日は、グループでのレギュラー番組の収録日。"あの日"以来、大倉と会うはじめての日。

夏の午後５時の外なんてまだ明るいはずやのに、太陽の光が届ききっていない。雨が車の窓を濡らしていく。

"あの日"からというもの、彼からは2日に1回くらいの着信があった。まだ俺のことを気にかけてくれていたことに、少しながら重荷が軽くなった気はしていた。でも、その電話を受け取ることはなかった。
俺を『ありえへん』奴だと思ってる大倉と話すことなんてない。
これ以上俺を拒否する言葉を聞くことになるかもしれないのも、怖かった。

今も局に向かう車内で、1件のメッセージが届いて。

大倉ちゃんと2人で話し合いたい。収録後空いてない?

内容を見てすぐ、返事をしないまま携帯を閉じた。

目的地に着くと、車を降りて建物に入る。
自分達の楽屋に通じる廊下をひとりで歩いてたら
…携帯弄りながら楽屋近くの壁に寄りかかってる大倉の姿。

気づかないふりして目の前を通り過ぎようとしたら、ぐっと腕を掴まれて。

「なあ、今日話したいことあるんやけど」

って、怒ったような呆れたような、いつもより低い声。