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四輪 ページ4

「お〜今日も流石の盛況っぷりだねぇ。」

「早くしないと先こされちゃう!」

その声を聞いた美沙子ちゃん達はパタパタと声のする方へ走って行ってしまった。

しばらくその一連の動作をあっけらかんと見ていた私だったが、置いていかれたことに気付き慌てて彼女たちの後を追った。

彼女たちが向かった所は女性達の人集りが凄く、とても近付けるようなものでは無かった。

(こんな大勢の女性達がなんで…?)

疑問を抱くもここに取り残されたままではどうしようもない。

キョロキョロと辺りを探すが見当たらない美沙子ちゃん達は、恐らくこの人集りの中にいるのだろう。

(……ええい。)


私はぐっと歯を食いしばり、酔いそうな人集りの中に体当たりした。

人並みを押し分け掻き分け、やっと見世の大行灯の灯りが見えた時、美沙子ちゃんが「こっち。」と私の手を引っ張り、彼女たちの所へ出してくれた。

やっとのことで人波から解放され、私が肩で息をしていると、3人が息を呑む音が聞こえ、彼女たちの視線の先を追った。




「男…?!」



彼女たちの視線の先、張見世の向こうにいたのは、それぞれ緑、紫、赤、黄の美しい造りの着物に身をつつみ、着物と同じ色の簪を丁寧に結われた髪に刺した4人の男性だった。


まるで、遊女のように。



「え…?待って、どういうこと…」

目の前の光景に頭が全くついていけない。


ここは遊郭中原、女郎達と男性方が一夜の夢を見る場所。


(しかしこの光景はまるで__)


「女性達が一夜限りの夢を見る場所。」

その言葉に私はばっと美沙子ちゃんの方をみた。

「女性達が…ってまさかこの人たち…」

「うん。遊女ならぬ遊男?」

「遊男って…」

(そんなの、聞いたことがない。)

「中原遊郭にある、ここ舞波楼(まなろう)はね、この遊郭唯一の遊男屋なんだよ。しかもこの舗はあの中原遊郭一の遊女屋、堯屋(たかや)に並ぶ大見世。」

「堯屋に…」

「うん、その舞波楼の中でも最上級の花魁、浦田、志麻、坂田、千羅は中原遊郭四名郎と呼ばれていて、あの大奥の女性達も話題に出すほどなんだよ。」

江戸はこの日本の中心地。その中心に住む、将軍様の御相手をなさる大奥方が話題にだす、それだけで彼らの凄さは一目瞭然だ。


(けれど遊男なんて、それに彼らは花魁って…
こんなこと、普通じゃありえない。)


だが目の前の光景はその普通じゃありえないことを実現してしまっている。


そんな目の前の光景に私は、ただただ圧倒されるだけだった。

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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , 花魁   
作品ジャンル:恋愛
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藍瑠(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです。続編もよろしくお願いします! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - ウルさん» ありがとうございます!嬉しいです、続編もよろしくお願いします! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - 匿名希望さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます!更新不定期ですが、気長にお待ち頂けると幸いです! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - えゆさん» ありがとうございます!続編もよろしくお願いします! (2022年3月15日 16時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍瑠 | 作成日時:2020年3月16日 20時

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