格子から見上げる世界 壱 青×緑 桃×赤 橙×黄

No.11 ページ11

「僕ここにおったら邪魔みたいやな

そろそろ下がりましょうか」

 

 

 

 

シゲ、話が面白いって言っとったけど

なんやええ仲なんかなと思えるくらいには、二人の雰囲気は甘い

 

 

 

 

「そないな気使わんでもええで

神ちゃん

もう少し一緒にお話しよや

普段の大毅のことも聞きたいしな」

 

 

穏やかな笑みでゆったりと言葉を紡いでくれる

 

ホントに不思議なお人やな

 

 

 

 

 

そこから取りとめのない話を三人でした

 

のんちゃん…小瀧さんは若いながらも

貿易関係のお仕事を起業していて

今は毎日走り回っているとの事

色々な国のことにも詳しくて

本当に聞いたこともないような話を沢山してくれた

 

 

 

「のんちゃんホントに忙しそうで大変やね」

 

 

 

 

「そうやな

毎日忙しいけどな

ここに来て可愛い大毅に癒して貰ってるからな

ありがとうな大毅」

 

 

のんちゃんがシゲの頬に手を添え覗き込むように見つめる

 

 

 

「…そんなこと…お仕事やし…

のんの話は面白いし…

俺も来てくれて嬉しいし…」

 

 

 

シゲの頬に朱がさし途切れ途切れに言葉を紡ぐ

最後の方は聞き取れないほどに小さくなっていたが

 

 

 

 

「大毅…聞こえへんからもう1回言ってや」

 

 

 

 

「嘘や！絶対聞こえてたやろ！

のんの意地悪！」

 

 

 

 

 

のんちゃんの方が一枚上手やな

お客さんを手玉に取るのが仕事やのに

こんなん楼主には見せられへんな

 

でもシゲがどことなく楽しそうなんは俺も嬉しいな

 

 

 

そんな事を考えながら俺はそっと襖に手をかけた

 

 

 

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