記録83 ページ35
1ヶ月後ー
家を出ると、そこには見慣れた風景が広がっていた。市場は人で賑わい、空は青かった。
見慣れた城に着くと、私は更衣室へと向かった。
勿論、仕事をするからだ
ドアを開けるのも躊躇わない。
その理由は…もう彼女達は…
私の脳裏に、赤い液体が裾に飛び散ったスーツを纏い、へらっと笑う鬱様の表情が浮かぶ。
ガチャー
私はそんな記憶に目を瞑り、開けた。
「…トントン様のメイド？」
「貴方…っ」
ドアを開けると、見知った顔がいくつもあった。何事も無かったかのように、彼女達がメイド服を身にまとっている。
『どういうことですか？』
「それはこっちのセリフよ！貴方生きてたの！？」
『貴方達も鬱様に殺されたのでは…』
「はい？」
全く話が噛み合わない私達は、とりあえず深呼吸して情報交換を行った。
「確かに私はヴィルロッド様のスパイよ。けど、それは過去の話。もう私はヴィルロッド様の配下じゃないの」
『どうしてですか』
「鬱様には説得させられたのよ…。筋も通っていたし、納得せざる追えなかったわ。貴方のことも悪く言ってごめんなさい。あの時は嫉妬の一心だったの」
「私もごめんなさい。許して貰わなくて結構だから、私の気持ちの整理のため、謝罪だけさせて頂戴」
私のことを嫌っていたメイド達が次々に私に頭を下げてくる。特に感情を持っていなかった私は感じることもなかったので、大丈夫です、とただ一言、彼女達に伝えた。
「私達のこと…何も思ってないの？」
あんなに酷いことしたのに怒ったりしないの、関わりたくないと思わないの、と質問される。
『…私には感情がありませんのでわかりません。ですが、きっといつか学ぶと思います。
その時はきっと、怒ったり、嫌いだと思ったりするかもしれませんね』
そう言うと、彼女達は一斉に笑い始める。
私は突然の事でピクリと体が動く。
「っふふ、貴方って話してみると面白いのね」
「鬱様がいい子って言ってたのもわかる気がするわ」
『鬱様がですか？』
「えぇ。私達、ヴィルロッド様の配下を辞めて、今は鬱様の48メイドの1人なの。鬱様は、よく貴方とトントン様の話をなさるものだから」
私とご主人様の話を…。
何を話されているのでしょう…
「ねぇ、そろそろ行かないと…」
「あっ、そうね！それでは、Aさん失礼致します」
仕事の時間が迫り、メイド達が更衣室を後にする。
私も急いでメイド服に袖を通し、ご主人様の元へ向かった。
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マァト(プロフ) - 完結おめでとうございます！とっても幸せな気持ちになれる作品でした。とてもほわほわしてます！モノクロ少女も応援してます！ (2020年12月4日 17時) (
レス) id: 19a370924b (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - おいちゃんさん» おいちゃん様、コメントありがとうございます！楽しんでくださったのであれば、作者としては大変嬉しい限りです。ここまでご愛読本当にありがとうございました！ (2020年11月30日 20時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
おいちゃん(プロフ) - 完結お疲れ様でした！初コメ失礼します！いちtn推しとして楽しませて頂きました！素敵な物語で最後メイドちゃん笑ってくれて良かったなってほっこりしてます。。お疲れ様でした！ (2020年11月29日 18時) (レス) id: 9941211368 (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - 紫乃さん» 紫乃様、コメントありがとうございます…！はわわ、楽しんで読んでいただけているのであればとても幸いでございます！成程、ご意見の方ご参考にさせて頂きますね！よければ最後までご付き合い頂けますと嬉しいです…！ (2020年10月21日 19時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
雪村(プロフ) - マァトさん» マァト様、コメントありがとうございます…！そうですね、そろそろ長いお話にも幕引きです。ここまでお読み下さり誠にありがとうございます！成程、ご参考にさせて頂きます！よければ最後まで楽しんで頂けますと幸いです…! (2020年10月21日 19時) (レス) id: 269a7df98c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪村 | 作成日時：2020年8月15日 14時
