二振目「私の罪」 ページ4
鶴「…さて、それじゃあ話を戻そうか、君、何故こんな所にいるんだ?此処は人間を嫌う刀剣達で溢れ返っている、一歩立ち入れば四方八方から刀を振り下ろされる事になるぜ」
あぁ…やっぱり…そうなんだ
貴「…此処、に、傷付いている…刀は…いるの…?」
鶴丸は比較的傷も殆ど無い様に見えるが…他はそうとは限らない。私が気になるのはそこだ、もしも、もしも傷を負っている状態であるならば………
鶴「いる、というか殆どの刀剣がろくに手入れを施して貰えずに酷いやつじゃもう破壊…折れる寸前でギリギリ持ち堪えている様な奴も少なくないな」
その言葉を聞いて絶句した。
そんなの、そんなの…
貴「駄目だ…絶対に…そんなの…駄目…」
この駄目、という言葉には、勿論、傷付いたままでは駄目、という意味もあるのだが、もう一つ、より一層私が此処に立ち入りにくくなる、という意味でもあった。
何故かって?
そんなの決まってる、もしも、もしもだ、そんな傷付いた刀身を結界を張った私に振り下ろしてみろ、もしかすると、折れてしまうかもしれない。それは、それだけは絶対にさせちゃいけない。もう、もう…
貴「あんな…思いは…したくない………」
ふと脳裏に過ぎる私が刃物を嫌う様になってしまったきっかけの風景が、まるで今、その場で起こっているかのように鮮明に思い出される。
鶴「…君、一体何があった、様子を見る限り、何か訳あり、という所だろう?」
…先祖様のお刀様になら…話しても良いのだろうか、私の、私の犯した罪を、このお刀様ならば、私の犯した大罪を、この身ごと、斬ってくれるのだろうか…。
貴「…もし、私の話を聞いたとして、そうすれば貴方はきっと怒るでしょう、私は、私は…」
五条家の出来損ない、だから。
いつの間にか門の上から降りて私の前に来ていた鶴丸は少しだけ目を見開く。
鶴「…そうか、だが、俺が怒るか怒らないかは君が決める事じゃない、俺が決める事だ、…話してくれるか?君の事を」
真っ直ぐと私を見つめて鶴丸はまた優しく微笑みかけてきた
じゃあ、話そうか、私の、罪の話を。
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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時