【REBORN】雪の灯火part2 (ページ38)

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73話ページ38

乾杯をした後
私はというと同盟ファミリーの方々に囲まれていた

「ボンゴレ9代目に娘さんがいらっしゃったとは！是非うちのボスとお話を」

「いやいや、私たちのファミリーが先だ！」

「Aさんと、言ったね？我々のところに来てください」

『あ、あの、えっと…』

飲み物を1人で取りに行ったら一斉に囲まれてしまったのだ

同盟ファミリーの方々のため、なかなか断れずにいた

関係を壊しかねないし
けれども進んで行きたくはないし

オロオロとしていると優しい声が頭上から降ってきた

「まあまあ、彼女も困っていますからそこらへんにしてあげてください」

私の肩に優しく置かれた手にはあの特徴的な刺青

『ディーノお兄さま！』

「よお！A」

かっちりとスーツを着こなす彼は人当たりの良い笑顔を浮かべた

「ん？君はキャバッローネファミリーの」

「はい、キャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノです」

「ふん、跳ね馬が何の用だ？我々はA嬢に話があるんだ」

目の前の人たちは苛立ちを隠さずにディーノお兄さまに厳しい視線を向ける

しかしそれに臆することなく、笑顔を絶やさない頭上の彼はさすがボスといったところだ

「彼女は9代目の大切な娘さん、もしお話があるのなら9代目に話を通してからの方がいいのでは？」

鳶色の瞳の先には、こちらの様子を気にするおじいさまが

どうやらおじいさまに代わりディーノお兄さまが助けに来てくださったようだ

おじいさまの姿を見ると、私を取り囲んでいたマフィアの方々は顔をしかめ、渋々といった様子で離れていった

『ありがとうございます、ディーノお兄さま』

「どうってことねーよ。それより1人になるのは危ないって9代目に言われたんじゃなかったのか？」

『うっ、飲み物を取りに行くぐらいでしたら大丈夫だと思って…申し訳ありません…』

「ったく、そんなAに9代目からの言伝だ」

『おじいさまから？』

約束を破ってしまったのだ
一体何を言われるのだろう

顔を顰めているディーノお兄さまとおじいさまの姿が重なっているように見えて、少し肩が上がる

「このガーデンの裏のバラ園にガゼボがあるから、そこに居なさい。護衛がいるから私も安心できる、だとさ」

『護衛、ですか？』

「ああ、俺も一緒に行くから移動するか。またいつ囲まれるかわかんねーからな」

周りを見れば私たちの様子を伺っている人達が大勢

私は黙ってディーノお兄さまに着いて行くのだった