【REBORN】雪の灯火part2 (ページ24)

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61話ページ24

(side A)

「これが"雪"の全貌です」

ああ、私は今どんな顔をしているだろう

セピラ様から雪の話を聞いた時のクリスタ様と同じように、絶望の色を滲ませているだろうか

血の気が引いているのが自分でもわかる

どうにか平静を保つために、爪が手に食い込むほど強く握る

「…A様」

クリスタ様が静かな瞳で私を見つめている

「私と同じ運命を貴女には背負わせてしまいました。しかし、私と同じ道を歩んでほしくは無いのです」

クリスタ様は私に歩み寄り少しだけ冷たい、けれども温かい手で私の拳を優しくつ詰め込む

自然と力が抜けていく

「貴女には、生きて、生きて、私が生きられなかった長い時間を大切な方と共に生きて欲しいのです」

『クリスタ、様…ッ』

目頭がツンと熱くなり瞳から大粒の雫がいくつも溢れる

「一緒に、どうしたら良いか考えましょう。…今、私にできるのはそれぐらいなのですが」

眉を下げて笑う彼女に更に涙が止まらなくなる

彼女は、出会って間も無い私に懸命に寄り添おうとしてくれている

私も涙が溢れる目尻を下げ彼女に笑顔を見せる

『どうか、よろしくお願いいたします』

クリスタ様もふわりと笑った

その笑顔は亡き母のもののようでもあり、私にも似ているようでもあった

「もっとお話ししていたいのですが、もう目覚めなければならないようです」

部屋中が白み出した

(そうでした。私は今風邪を引いて寝込んでいるのでしたね)

クリスタ様の姿も段々と薄くなっていく

「また、次の機会にお話ししましょう。…それまでに、A様」

最後に私の耳に顔を近づけ耳打ちをした

「貴女が本当にしたいこと…貴女はボンゴレの、マフィアになりたいのか、そしてその理由を考えておいてください」

それを最後に私の意識は現実へと引き戻された

～・～・～

『ん…』

「A？大丈夫か？」

ぼやける視界の中で金髪が揺れる

身体は眠る前より辛くはなかった

『ベル…はい、先ほどよりはだいぶ楽になりました』

「いや、身体もそうなんだけどよ」

ベルの少し骨張った私よりも大きな手が目の下をなぞる

「お前、泣いてたから」

前髪越しでもわかる
ベルを心配させてしまった

彼を安心させるように口角を上げる

『ごめんなさい、心配させてしまって…でも、本当に大丈夫ですよ。少しだけ悲しい夢を見てしまっただけなので』

嘘は言っていない

今はベルを安心させるのが一番だ