【REBORN】雪の灯火part2 (ページ12)

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50話ページ12

「なんで逃げたんだよA」

『えっと、』

捕まった状態のままベルに問いただされる

嫉妬心からだと言えばベルは呆れるだろうか

はたまた愛想を尽かされてしまうかもしれない

言葉を詰まらせた私を逃すまいとベルは少し強く抱きしめる

じーっと見つめられ正直もう限界だ

息を一つ吐き彼から視線を逸らす

『い、嫌だったんです…』

「ん、何が？」

ベルはあくまで優しい声色で私が話すのを待ってくださっている

それに少し体の強張りが溶け理由を話すことができた

『部屋で、ベルへのたくさんの贈り物を見て、ベルは多くの方々に愛されているのだと思いました』

「んーまあ王子だしな？」

『わ、私もベルが好きで、大好きで、ベルを愛している人のうちの1人です！…だからこそ嫌だったんです、自分のプレゼントがあの山の中に埋もれてしまうのが…』

言ってしまった

嫉妬とはなんて醜いのだろう

目をぎゅっと固く閉じていると頭上から聞こえたのは大きなため息

(ああ、きっとベルは呆れてしまったのです…)

心が軋む

胸が痛い

きっと嫌われてしまった

胸の前のプレゼントをぎゅっと抱きしめベルの言葉を待つ

「はあーたくよー」

『いっ！？』

なんと待っていたのはデコピン

長い指で弾かれたおでこがジンジンと痛む

驚いて目を開けば口元を手で覆った彼がいた

「なんでそんなかわいいわけ？」

『か、かわ！？』

一体全体どういうことだろう
話の意図が見えない

「嫉妬、してくれたんだろ？王子に」

『っ、嫉妬なんてみっともないです…』

「なんでだよ、王子すげー嬉しいんだけど？」

『へ？』

彼の口元は弧を描いていてちっとも呆れていない

「A、王子が抱きしめるのも、王子がキスするのも、王子が好きなのも、お前だけだぜ？」

ベルの言葉に顔が熱くなる

恥ずかしいけれど
それよりも何より

(う、嬉しい…です)

好きな人が自分のことをここまで好いてくれているなんて誰が思うだろうか

嫉妬さえも愛してくれるなんてこんな幸福なこと他にないだろう

ベルに手を引かれ立ち上がる

「うっし、そんじゃあそのプレゼント、俺にくれんだろ？」

『は、はい！あの、けれど本当に私のプレゼントでよろしいのですか？』

「いいも何も、俺は他の奴らのなんかよりも」

お前からのプレゼントが欲しいんだけど？