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ああ、どうしようどうしよう。
動悸が止まんない。
階段一気にかけのぼったせい？
いや、それだけじゃない……。
さっきの佐藤くん、
いつもと全然違った。
運良く人がいなくて
教室の前でしゃがみこんだ。
どきどき、はやくおさまって。
だって、あの佐藤くん……
Sっ気が滲み出てて
ちょうかっこよかったんだもん……！
えっ、クールそうって思ってたけど
実は優しくてギャップ萌えで(？)
でもやっぱりちょっと意地悪な口ぶりで
やっぱりなんかもう……
「うぅ、……すき」
どう転んだって
私 佐藤くんが好きだ。
佐藤くんの本性が天使であれ悪魔であれ大魔王であれ
結局 好きにおさまってしまう。
恋は盲目とはまさに このことだ。
どうしよう好き。
優しくても意地悪でも好き。
「……誰が、好きなの？」
突然右耳にかかった
熱い吐息と、甘い声。
「ひっ、」
「どの男のこと、考えてるの？」
ぐるりと後ろを振り向いたら
そこには 私と目線をあわせるためか
しゃがみこんだ佐藤くんがいて。
「……佐藤くん、には、関係ありません」
あなたのことです！
なんて自信満々でもなきゃ言えないよ。
つりあってないのは目に見えてるんだし。
「関係、あるよ」
引っ張られた二の腕は
佐藤くんと同じ細さ……いや言いすぎた。
きっと私の方が太い、ごめんなさい
じゃなくて。
「……A、ちゃん」
閉じ込められた佐藤くんの腕の中で
じっと縮こまる。
爆発しそうな心音は
私のものなのか、佐藤くんのものなのか。
いきなり、下の名前を呼ばれて ぎゅって、胸が痛い……。
「嫌だよ。他の男なんて見ちゃ」
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作者名：ゆき
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2017年10月22日 0時
