Who is my prince? (ページ20)

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運の悪さ、ピカイチかもしれない。

たまたま今日はこっちの階段から帰ろう、とか数十メートルしか変わらない下駄箱までの道のりを変えてみて

渡り廊下の、手前あたりで
佐藤くんと誰かが話してる。

あ～、そういえば今日は
バイバイも言わずに
すぐに帰っていったな～とか

そんな数分前の出来事を思い出した。

「信じらんない！！私をふるなんて……何考えてんのよ！私に恥をかかす気？」

「別に。あんたが勝手に言いふらしただけだろ。はぁ……こっちはあんたのせいで最悪なんだけど」

天使の艶リングが見える
綺麗な黒髪。
短いスカートからのびる
すらっとした脚。

お人形さんのような容姿は
もう、すぐに誰かわかった。

みすこんの人だ、たぶん。

「もう俺に話しかけないんでくれる？
あと、二度と自分にいいように噂を広めないこと」
「なによっ……偉そうに。
なんで私じゃダメなの？お似合いのカップルになれるのに！」

……うん、確かに。
先輩に対してなのに、偉そう。

でも……なんだろう、
このかんじ。

「あんたが俺のタイプじゃないだけ。
ていうか、話したことなかったし話も弾まない奴と付き合おうなんて思うかよ」

いつも、喋ってるときの
佐藤くんと

雰囲気が違って。

「さよなら先輩お幸せに」

くるりと先輩に背を向けた佐藤くんが
一瞬

先輩に向けていたのであろう
冷たい視線を私にも向けた。

「……中西、さん？」

思わずさっきおりてきたばっかりの
階段をもう一度かけあがった。

だって
どんな顔をすればいいのか
わからなかったから。