夢で恋は終わらせない。 Fuma.K (ページ6)

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「そのときからふうまさんがどんどんやつれていって……ずっと私のそばにいてくれて、」

グズグズと鼻をすすりながら
全力で困り顔をする菊池先輩の知らない思い出話を語り
ふうまさんが好きだったものに似てる、ドライフルーツを献上した。

「知らねえ。俺じゃねえ」

突き返されるけど結局は受け取ってくれる。
このやり取りはもう7回目だ。

「ふうまさんならぶくぶくに肥えててもいい、もっとしっかり食べてほしかった……」
「言われなくてもしっかり食ってるよ」
「ちがう、ふうまさん……」
「ああもう何がしたいのお前は」

イラついた口調の菊池先輩。
そりゃそうだと思う。でも私がいまからふうまさんにできることはないからせめて、似てる菊池先輩に貢ぎ物を……。

「まあまあ、菊池。Aちゃんのこの顔みて嘘ついてるとは思わないでしょ？」
「まあ、そりゃこんな泣かれちゃ」
「いま日本史平安時代やってるんだって。菊池との思い出が蘇って泣いちゃうんだって」
「やば。情緒不安定かよ。ていうか俺じゃないから」
「なんでふうまさんの送ってくれた歌は古今和歌集にのってないの……！」
「古典の時間も泣いちゃうんだって」
「ああもう、お前は俺にどうして欲しいの」

数枚とったティッシュで涙をぬぐ……わなくて顔にぽんと押し付けた。
あとは自分でやれということだろう。

「先輩には」
「うん俺が？」
「幸せになってほしい……」
「うん、じゃあまずストーカーやめようか」
「それとお腹いっぱい食べててほしい」
「毎日貢ぎに来てくれるもんね、大丈夫だよ。でも俺ドライフルーツあんま好きじゃないんだわ」
「願わくば私を幸せにしてほしい……」
「それは他をあたってくれ。な？電波ちゃんの面倒みるほど暇じゃないんだ」

いらないといったドライフルーツも結局は受け取ってくれた。
こんな日々を最近は送っている。