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“…あっ、Aさん！”
“ふふっ、そのお着物、とても綺麗です”
“聞いてください、ショウタロウヒョンがまた 韓国語の詩を読めるようになりました”
“今日の僕の髪、どうですか”
“最近、体を鍛え始めたんですよ”
“中庭の花、綺麗に咲きました”
“一緒に、散歩しに行きませんか”
“Aさんっ”
…ソンチャンの目の色が
私がこれまで 飽き飽きするほど見てきた
男娼の それ に変わった瞬間
桜が舞い散る中で
やさしい陽射しの下で
私に駆け寄ってくる 無邪気な彼の姿が
走馬灯のように蘇った。
私の肩を 少し強い力で抱いて
指を ぎゅっと絡めて
そっと 目を伏せて
その唇に 触れてしまったとき
花の香りを ずっと近くに感じてしまったとき
マークと初めて寝た夜に感じたような
無情な切なさが
悔しさに似た 虚無感が
心を塗り固めていくようで
…哀しかった。
結局
純粋に私を慕う少年の前で
私はまた
一人の女に 成り下がってしまうようだ。
何よりも自ら、楼主という立場で
彼に“そうするように仕掛けた”という事実。
どうしても幸せになりきれない私の運命を
心臓に突き刺さるように 感じられて
思わずソンチャンの広い肩にしがみついて
その胸の中に顔を埋めた
ソンチャンはどんな顔をしているだろうか
…きっと、私の本心は わかってなんかいないだろう
そんな彼の勘違いがまた、哀しくて
打ち明けられない私の純情が、苦しくて
可笑しな話だけれど ね
自分が思っていたよりも ずっと、ずっと
私はどうやらソンチャンに心を開いていたようだ。
…その横顔を
きっと まだ真っ白だった頃のテヨンに
勝手に重ねて 慈しんで
時を巻き戻した感覚になって
今度こそ、
…そう 思っていたみたいだ。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
