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「確かに世界は広いし、俺はまだ外の世界に対する知識も浅くて、未熟なんだろうけど」
「…」
「…貴女が創るこの世界に生きるのも、俺は好きだよ」
「…ジェヒョン…」
「だって、貴女のこと 好きだから」
知ってるでしょ？
…そう、私に問いかけた彼は
また柔らかな笑顔を見せた。
幼い頃から変わらない。
私を、姉のように 友人のように
慕ってくれて“いた” そんな彼の笑顔。
今も、まだ
ジェヒョンは私を そんなふうに思っていてくれているのだろうか。
彼が再び差し伸べた その大きな手のひらへ、
恐る恐る手を伸ばせば
ジェヒョンは自ら、私の手を引っ張って
わざとらしく、指を絡めた。
連れて行かれた、その部屋に足を踏み入れるのは
あの 無性に爽やかな風が吹いていた朝
…マークを汚した あの日以来だった。
ジェヒョンはこの部屋が好きだと言っていた。
何も無くて、虚しくて
自身の残酷な運命を ありありと感じさせるから。
ただ 性行為を行うためだけに置かれた寝台、
そこに靡く 清らかな絹の天蓋、
冷めた月が見える 窓辺
そんな無慈悲な空間の中で
ただ 彼のことだけを求めて
彼の名前を呼ぶ
そんな私が 愛おしいのだと
…ジェヒョンは、言っていた。
まだ昼なのに、止まない雨のせいでどんよりと曇った空が 部屋の中を影で満たす。
ジェヒョンは外の様子を眺めている。
寝台に腰を下ろし、そんな彼の広い背中を
それとなく ただ見つめていた。
「ねえ、ヌナ」
「なに？」
「人が嫌がってることから、目を背けさせる。…それって、その人にとっていいこと？悪いこと？」
「…」
「…俺はただ、悲しい思いをしてほしくないんだ。だけどそれは、本当にあいつにとって幸せ、に値するのかな」
誰のこと、話してるんだろう。
ジェヒョンの目は、また あの感じと同じ
誰かのこと 焦がれるほど想っている
その心の底から
…とても、暖かく。
そんな感じだった
一人の男性としての真心を感じるその姿を見つめると、ジェミンに感じた“眩しさ”に似た何かを 胸の中が駆け抜けていく気がして
再び 激しい嫌悪感が走る。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
