第二場 ページ38
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TY side
雷が鳴った。
すぐに、雨が地面を叩く音が聞こえてくる。
ざあざあと、灰色の中を降り続ける。
薄暗い部屋でただ、それを耳にしていた。
何も、感じることは 無かった。
下地に赤色を忍ばせて、肌に白粉を薄く伸ばすけれど それでも顔色の悪さは隠しきれない。
頬に手を当て、鏡を覗き込む。
…酷い顔だ。
流石にここまで状態が悪くなると、俺でも今の俺が正常じゃないことが よく分かる。
最近眠れないし、食欲も湧かない。
肌艶はどんどん無くなっていく。
これじゃ、商品としても、人間としても
どんどん俺に価値が無くなっていく一方だ。
「…」
…見せつけているつもりじゃない。
それでも、
なんで、あのひとは
俺がこんなになっても、何も言ってくれないんだろう。
…気付いてくれてすら、いないのか。
あれほど俺を手放すことを拒んでいた貴女が、
あれほど俺から目を離したがらなかった貴女が。
ほんの気まぐれ、そういう風の吹き回しか と
最初の頃はなんとか耐えていたけれど
ソンチャンを連れて楽しそうにそこらを歩いていたかと思えば
何やら、ヘチャンと話している姿も見たし
昨日はウィンウィンと一緒に居た。
……どうして、どうして。
Aさんは、俺を求めてくれなくなってしまったんだろう。
幾度となく声をかけようとした。
それでも貴女はまるで俺を避けるように
何処かへと姿を消す。
それが“当たり前”になってしまった。
鏡の中から俺を虚無に見つめる、俺。
貴女がよく褒めてくれたこの顔も
今はなんだか 見ているだけで嫌気が差した。
俺の何かが嫌なら、そうだと言ってくれれば治せるよう努力する。
その他に気になることがあるなら、なんでも言ってほしい。
…それなのに、何も言わないなんて、あんまりじゃないか。
桜の花吹雪が、貴女を連れ去ってしまったみたいだ。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
