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HC side
「…テン、よして」
「大丈夫なの?」
「大丈夫よ、」
「なら、いいんだ」
ヌナが逃げるように部屋を去っていく。
俺は声を掛ける間も無いまま、
その後ろ姿に呆気に取られていた。
…テンヒョンがこっちを見て、
愉快そうに笑っているのにも 気付かず。
「ヘチャナ」
「えっ!?…あ、はい、何?ヒョン」
「…Aちゃんに、何、言った?」
「何って… ……ヌナが周りを拒絶するのをやめて、自分の意思で生きられるように、俺はなんでも手助けするつもりだからって、言いましたよ」
「ふーん、そっかぁ…」
テンヒョンは俺から目を逸らすと、
腕を組んで唇を尖らせた。
…何が言いたいんだろう。
物分かりがいい方だと自分では思ってるけど、
テンヒョンのことは これっぽっちも分からないんだ。
「…Aちゃんにそんなこと言っちゃダメだよ…」
溜め息を吐くように、テンヒョンはそう呟いて
…笑っていた。
「…え?」
「フフッ、Aちゃんに必要なのは、手助けしてくれる人じゃないよ」
「…どういうこと、ですか。てか、なんでヌナのことちゃん付けで…」
「Aちゃんに何よりも必要なのは、一緒にどこまでも堕ちていける人」
テンヒョンが微笑む。
俺が見たことないような笑顔で。
背筋が凍った。
…こんな感覚、初めてだった。
なんだか、
テンヒョンが人間以外の何かに見えた。
「…Aちゃんは幸せにはなれないよ」
「そんな彼女が、ボクは愛おしい」
「ボクも一緒だから」
「ヘチャニはまだ間に合うけど、ね」
「…“こっち側”に来ちゃ、ダメだよ」
「分かった?」と 俺に問い掛けて
テンヒョンは俺の肩に 手を置いて
再び、するりと 去っていった。
…この世から、旅立つように
俺の体をすり抜けていった。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月 | 作成日時:2021年2月19日 22時