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「…彼が思う幸せって、何かしら。彼が望む生き方って、何かしら。そんなことばかり、気付けば考え続けてる」
「…そう、なの?」
「ええ。でも、言われたところで私はきっと それを叶えようとはしないと思う」
「…」
「あの子はあたしのものよ。……でも、」
…あの子の人生だって、あるんだ。
分かってる。そんなこと。
考えないようにしてただけ。
きっとテヨンはあたしのこと、愛してなんかいない。
あの子をあたしの鎖で縛って、自由を奪って
他のことを考えられないようにさせて 育ててきた。
そんな彼が口にする あたしへの想いだ。
決して彼の本心なんかじゃないことは目に見えてる。
あたしのしてることは 間違ってる。
…分かってる。
だから、彼を自由にさせてあげたい。
でも、絶対にさせたくない。
…あの子を、愛したい
でも 愛せない
……怖いんだもの
愛には 必ず終わりがあるから。
ヨンホの逞しい胸元にもたれかかりながら、
花魁道中の終焉を 見届ける。
これからテヨンはお座敷へ上がり、お客様と長い夜を過ごす。
…片付けの手伝い、しなくちゃね。
私はヨンホの手を取り、彼に向き直る。
つやつやとした金色の長い髪に触れて、
それを 彼の耳に耳に掛けて
結局、
とん、と 再び彼の胸に顔を寄せれば
ヨンホも笑って 私の背中を抱いた。
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ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン(テンも?)がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください!更新首を長くして待っています^^ (1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月 | 作成日時:2021年1月14日 17時