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とても綺麗な 切長の瞳
真っ黒な目 溜め息が出るほど綺麗だった
ボクのママは宝石を沢山持っていたけど
その宝石よりも綺麗だった
それと同じくらい真っ黒 うん
漆黒の長い髪を 綺麗にまとめてね
口元の黒子に なんだかどきどきして
着物の着こなしは まるでお姫様みたいで
でも冷たい雰囲気があって
触ったら火傷しそうな色気、とか よく言うけど
キミは 触ったら凍りつきそうな色気
そんな感じだった
キミはAと名乗った
聴き慣れない言葉の響きだから、
なんだかとても特別な名前のように思えた
そして、ボクを立派な“ダンショウ”にすると言った
まずは言葉の習得、読み書きから
次は礼儀作法
身だしなみや美貌の究め方
そして舞や 芸事
毎日、めくるめくように
新たなことを教えられては 実践して
寂しさや辛さは すぐにどこかへ飛んで行っちゃった
素敵なトモダチに会えたから
そして いつもキミがそばに居てくれたから
ボクって 故郷に居た頃から
“他の子とは少し違うね” “変わってるね” って
言われ続けてきた
みんなボクのこと 変 って言った
家族くらいだった
ありのままのボクを 受け入れてくれたのは
でもキミは
ボクがどんなことを言おうが
どんな行動をしようが
そのまま 見守ってくれたね
キミはよく言ってた
遊郭で働くんだから、感情は捨てて
ただ、女性をどうしたら喜ばせられるか
それだけ考えろ って
愛情なんて、此処には要らないもので
そもそも実在もしないものだ って
でも今は分かるさ
キミは恐がり屋さんで
誰よりも繊細だったんだね
ボクはボクの考えを
キミに強制したりはしない
ありのままのボクを受け入れてくれたキミを
ボクもそのまま 受け入れたいから
だから キミがどんなに最低でも、最悪でも
ボクは抱きしめてあげる
キミを失う って考えたら
とっても嫌な気分になるんだ
あのコに感じてた想いは
躊躇わずに “恋” と言えるけれど
キミに感じる想いは
そんな響きじゃ収まりきらないね
ボクは考えた
この感情って、
ボクらみたいに 少し
愛情 って
呼んで いいんじゃないかな
でもキミはきっと 否定するね
それでもいいさ
ウン
キミはそのままで居てくれたら いいや
だから、Aちゃん
…そんなに哀しい顔を しないで
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ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン(テンも?)がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください!更新首を長くして待っています^^ (1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月 | 作成日時:2021年1月14日 17時