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第九場 ページ1

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“Aさん”





そう言って

あたしを呼んで







“俺を全部、貴女にあげる”





そう言って

あたしを抱きしめて









“それが俺の幸せです”





そう言って

心安らかに 微笑む










じゃあどうして 今


あたしが染めた 綺麗な髪で

あたしが贈った着物を着て




あたしじゃない女のためだけに

歩いているの












そんな、どうしようもない思いを抱いて
楼の最上階、私の部屋から

滞りなく進んでいく豪華絢爛な隊列を
彼が正門から歩いてくるのを 見つめている。



テヨンが、

…愛らしく、美しい
私の言うことを必ず聞く 従順な子供とだけ思っていたテヨンが


あんな風に あたしを魅了するから

悔しい、とでも 思っているのだろうか。



心に渦巻く複雑な感情は、説明が出来ない。


このことについて考えていると、
身体が 何か真っ黒な暗雲のような、魔物に

押し潰されて散り散りになりそうな気がするんだ。









「…楼主様」






襖の向こうから、不意に聞こえてきた声。


…私を現実へ引き戻したその声に、安堵する。


振り向くことなく小さく返事をすれば、
静かな足音が近付いてくる。




すぐ隣で揺れる

艶やかな金髪。



紫水晶(アメジスト)の簪。










「どこに居るかと思えば。珍しいね、一人で見てるなんて」


「…なんで、来たの」


「一人にしておけないでしょ、貴女を」






夕陽に照らされ、きらきら反射する宝石と 彼の瞳。

おっとりした彼の眼差しが、
少しだけ困ったように微笑んで 私を見下ろす。



馬鹿にしないで、そんな心配は無用よ


…そう、言いたいのに

喉から上手く声が出せないのを
ヨンホは全て解っているのだろう

私の肩を そっと抱き寄せて


…何も言わなくたって、分かってる って

優しく私の髪を撫でる。



また心が、凪いだ海のように 落ち着いていく。





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ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン(テンも?)がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください!更新首を長くして待っています^^ (1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月 | 作成日時:2021年1月14日 17時

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