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「そんな意地悪言わないでさぁ、Aちゃん。これも昔からの付き合いでしょ？」
「チェ様、わたくしはあくまでも遊郭の楼主として貴方様に接しているのです。その… 私生活に干渉し合うのは、仕事の関係としてよろしくないと思いますの」
「…なんだって？俺の態度が気に入らないってか。これも信頼関係の構築の一環だろう」
「ですから、それとこれとは…」
…また卑しい笑みを浮かべた。
この手を使うのは何度目なのだろうか。
私でも説き伏せられない相手は、なかなか居ないだろう。ここまでの曲者でなければ。
脂ぎった顔がすぐそばに迫ってきて、本能的に嫌悪感が走る。
背筋が張り詰め、作り笑いを浮かべるのも限界。
そんな時だった。
JH「楼主様、演出担当の者が呼んでおります」
TL「チェ様！お久し振りにお目にかかります」
「…！貴方達…」
颯爽と現れたジェヒョンとテイル。
二人とも和やかな笑みを浮かべている。
ジェヒョンがそっと、私の腰を抱いて
JH「…ここは俺らに任せて」
そう、耳打ちする。
私はチェさんに向き直り、膝を折った。
「申し訳ありません、奥の方で問題が発生したようですわ。様子を見に行って参ります。では、ご機嫌麗しゅう」
呆気に取られた彼に微笑みかけ、
テイルがすかさず彼に話題を持ちかける。
私をちらりと一瞥したテイルに、私は頷いて
その場から背を向けた。
…二人には後で厚く礼をしなければ。
やっとチェさんから解放され、楼内に戻れば
何故だか少しほっとした。
大広間ではチソンたちが舞の練習をしているのが見える。…彼、身長 また伸びたかしら。
髪を白銀に染めたジェミンは、その舞を見て笑っていた。和気藹々とした雰囲気を目に、私も緊張しっぱなしだった頬が ようやく緩んだ。
階段の柵に身を寄せ、二人の帰りを待っていると
何処からか美しい音楽が聞こえてきて
…きっと、テヨンが八文字の練習をしてるんだろう。
成長した彼の姿に想いを馳せながら、階下をちらりと眺めれば
疲れた表情のジェヒョンと、彼を労うように笑っているテイルが歩いてくる。
私は階段を駆け降り、彼らのもとへ急いだ。
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月11日 10時
