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「……僕のために、泣いているんですか」
「…っ、……そうだよ、……馬鹿みたいでしょ…？」
「…そんなひと、いなかった」
「…」
「……この世に生まれて、ずっと…」
「…」
「…僕を想って、涙を流してくれる人なんて、誰一人として… …っ、」
ジェミンの肩が震えるのは
ちらつく雪、その寒さのせいでは ないみたい。
私は、涙を止められないままのくせに
それでも彼のことを安心させたくて
雪よりも美しい、白銀
…その髪を、撫でた。
胸に、言葉にするには
「……A、ヌナ」
「…うん…？」
「…僕、誓います」
ジェミンが顔を上げる。
彼は自分の涙を、大雑把にもごしごしと拭うと
私の頬に触れた。
「…僕、テヨンイヒョンにも、テンヒョンにも追いついてみせる。マクヒョンにもルーカスヒョンにも絶対、負けない」
「見ててください。…誰よりも稼いでみせる」
「この身体は、もっともっと、汚れてしまうかもしれないけれど」
「それでも僕、必ず貴女を迎えに行きたい」
微笑む姿が、
どこか 凛々しかった。
胸の奥が、突き上げるように
熱を帯びて 音を立てる。
ジェミンが私を抱き寄せ、口づける。
途中、ふふっ と
いつもの調子でジェミンが笑った。
「…娼夫の本気の恋は、命懸けなんですよ」
「…そうなの？」
「これまで何人も、女性のために遊郭を抜け出そうとして、その結果行方知れずになった人を見てきました」
…そんなこと、あるんだ。
少しだけ気が引ける私は、やっぱり臆病なのか。
それでも、
…さっきまで、泣いてたくせに。
そう憎まれ口を叩きたくなるほど、清々しく笑うジェミンの姿に
不安はどこかへ なりを潜めていった。
私の手を取り、指を絡める。
ジェミンはそのまま、私の手の甲に 口づけた。
「…もっと貴女のことを教えてください」
「ふふっ、じゃあジェミンのことも教えてよ」
「…波瀾万丈で聞くに耐えない人生だけど」
「…大丈夫。全部、受けとめるもの」
「…」
「ね？」
雪は、いつの間にか やんでいた。
ジェミンは少し 呆気に取られた顔をして
目がくしゃくしゃになるほど、嬉しそうに笑った。
「…ヌナ、ありがとう」
「貴女に惚れたよ」
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
