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「そして、身請けを楼主から許されるのは花魁だけなんだ」
「花魁…？」
「ああ。この遊郭で最も高価な、象徴とも呼ぶべき存在のことだよ。遊郭っていうのは、ピラミッド構造になっていて…」
「…ピラミッド？」
「ああ…そうだよね、言葉選びが悪かった。三角状の階級構造になってるんだ。一番上に居るのが、花魁」
「じゃあここの遊郭にも花魁が居るんだ」
「うん、今は二人ね。テヨン、それからテン」
「…二人は、どんな人？」
「ははっ、二人とも凄く… ああ、そう言えば今度、テヨンの花魁道中があるって言ってたな」
「花魁道中？」
「うん。この遊郭の最上階で待つ特別なお客様のために、花魁が花街の入り口から派手に着飾って歩くんだ。周りには馬や禿、振袖新造… 若手の娼夫たちを侍らせて、とにかく豪華にね」
「へえ…！」
「一度は見る価値があるよ。脇道は多くの見物客で道はいっぱいになる。祭のような雰囲気になるんだ」
…そう、聞こえはいいのに。
それでも、“閉じ込められてる”彼らの心境を思えば、複雑な感情が渦巻いた。
だけど、ジャニは慣れっこなのか
気にする様子もなく、話を続けた。
「花魁の下が、太夫。俺がそう。花魁の格下と言えど、一晩で10両は下らないお金が必要になる。その下に、さらに格子太夫、振袖新造、禿…と続いていくわけなんだ」
「…説明、上手。頭いいのね」
「ははっ、久々にこんなこと話したから緊張したよ。…遊郭の仕組みを理解しないでいきなり太夫を買うなんて、Aはある意味やり手だね(笑)」
笑顔のジャニは、私の髪を撫でる。
…ジェミンの位は、なんなんだろう、な。
彼らが何故 遊郭に居るのか、
そんな野暮な理由は 聞かないことにした。
彼ら自身が選んだ生き方でもないのに
一生をここで、過ごすのか。
この美しく狭い 鳥籠のなかで。
お金の関係だと、割り切りたい。
…心では、割り切れたつもりでいたのに。
それでも、彼らの現実を思い浮かべると、胸が痛む。
これは、彼らの営業の上手さのせいなのか。
ジェミンの、ジャニの 指先の温度のせいなのか。
ううん、きっと違う。
私の中の、人間として 大事なところが
痛いと、叫んでるんだ。
不意に、ジャニが私の肩を抱き寄せた。
私の瞳を見つめるジャニの瞳の中に、
私だけが見える。
私は微笑んで、その頬を指で つついた。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
