Alone Together (ページ32)

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聴取者ページ32

わたしの家から少し出たところで、交通事故が起きていた。わたしははじめ、自分が見た景色が信じられなかった。だが、次第に人が集まり、車が渋滞を起こし、遠くからサイレンが聴こえてきたところで、ようやくそれが現実であることを悟った。脚をねじ曲げて、血を流しているのが、わたしの彼氏であることも

「キヨちゃんっ」

どうしてこんなことに。もう手を離さないと誓ったのに。ああ、嗚呼！

ドラマで見るようなマスクをつけられて、ストレッチャーのベルトに固定されて、救急車に乗せられるキヨちゃん。わたしは同行を拒否された。顔を青ざめる彼が、このまま二度と帰ってこないような気がした。女性警察官がわたしの身体を起こして、パトカーに案内する

隠すこともやましいことも、なにもない。たった今、わたしにはなにもなくなってしまった

「彼は……精神疾患なんです」

この手にはまだ、感触が残っているのに

「わたしが止めるのも訊かずに、飛びだしたんです。でも、彼は悪くないんです。なんにも……」

警察官は、無線でなにか、一般人のわからない用語を織り交ぜながら伝えていた

今後、わたしのところへ彼の情報が伝わることはないらしい。たとい恋人であっても……家族ではないから