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「別れを告げに、ねぇ」
阿伏兎はバカバカしいといいたいのか、フッと鼻で笑う。
「嬢ちゃん、このまま旅を続けるより星に帰ったらどうだ?」
『なっ…』
「俺だってよぉ、好きで拾ったわけじゃねぇんだ。団長のワガママさ。
拾ったらちゃんと世話するとか言っといて、まともに戦闘の稽古もしねぇ、時間が経ったら私情で捨てやがる」
『…』
「団長はそんな男だったんだ。お前さんが一番つらいだろうに、こんなとこ残る価値あるのか?」
阿伏兎が急に問い詰める。
Aは少し退きそうになったが、ぐっとこらえた。
「そしたら急に星に用があるだの抜かしやがる。団長も、見る目がなかったのかねぇ。とんだ甘えん坊だ」
『…っ』
咄嗟に手が出そうになるのを抑えた。
自分の決意をバカにされた気分だった。
『私は、帰りたいなんて思わない。あの星は、もう私の星じゃないんだ』
「そう無理すんなって。ここが合わなかったんだ、嬢ちゃんにはよ」
『阿伏兎…なぜそんなに?』
「嬢ちゃんのためだよ。いや、団長のか…」
阿伏兎は一息つく。
呆れたように話し始めた。
「あんな覇気がねぇあいつは見たくねぇんだよ。ここ最近、団の指揮がまともに取れてねぇ」
『…まあ少し感じるな』
「お前さんよりあいつといるから分かるやつは分かる。舐められたら、何するか分からねぇ連中だって多いんだ」
『私がいると神威が…』
「まあそういうことだな。一番は嬢ちゃんに変わって貰うことだな。迷ってるくらいじゃ、団の組織を乱すだけだ」
『…』
逃げ出したかった。
反論はする気にもなれなかった。
自分がしっかりしないといけないのに。
「ここに残る覚悟があるならそれなりに見せてみろ。ないなら、あの星で野垂れ死にするんだな」
阿伏兎はAを突き放す。
こらが阿伏兎の本心なのだろうか。
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ゆう(プロフ) - 雪さん» ご報告ありがとうございます!直しておきました! (2020年1月28日 22時) (レス) id: 6c784c5756 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - ちなみに16話の最後から3番目の [ ○○は、よく母から紙を整えられていた]のところです>< (2020年1月7日 20時) (レス) id: 16253bb5bd (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 気になったんですけど、 紙じゃなく髪じゃないですか? 勘違いだったらすいません。(16話) (2020年1月7日 20時) (レス) id: 16253bb5bd (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございますー!!妄想力しかないもので拙い文書ですが... (2019年11月29日 10時) (レス) id: 6c784c5756 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - すごく面白い…どうやったらこんな面白い物が…とにかく!凄い面白かったです!!! (2019年11月29日 6時) (レス) id: a01ec1bc5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よっちゃん | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月21日 17時