Episode 12 ページ12
・side You
｢良かった…。｣
運良く家の中に親はいなかった。
あちこちに散らかった空いた缶ビール。
灰皿からこぼれ落ちる煙草の吸殻。
何日放置されてるか分からないペットボトル。
ビリビリに破れてる雑誌。
いつ洗濯したのか分からない洋服。
そんな汚いもので部屋は充満していた。
私はゴミの中をかいくぐって自分の部屋に行く。
おそらくこの家で唯一綺麗な場所は
私の部屋だけだろう。
私はスーツケースとボストンバッグを取り出し
生活に必要な物だけを選んで詰め込んでいく。
私服、教科書、充電器、宝物、イヤホンも。
他にもどんどん物を詰め込んでいく。
本棚に手をかけた時、あるアルバムが出てくる。
…友達と撮った写真が沢山入っいる
フォトアルバムだった。
｢…懐かしいな。｣
なんだか感傷に浸りながらそのページを
1枚1枚捲っていく。
そして最後のページを開くと
そこには私が嫌いな光景が目に入ってきた。
それは私の部屋。
私の部屋で2人で遊んだ日の写真。
これを見てなんだかんだ言って私の部屋が
1番汚かった事を思い出した。
そうじゃん。
ここが私の初めてだったんじゃん。
謎の虚無感に襲われそのアルバムを
放り投げる。
今の私には必要ない。
私は沢山の荷物を持って家を出る。
今日でこの家は最後。
今までお世話になりました。私の部屋。
私は自分の部屋に感謝をして家を出た。
ここから歩いて帰るまで暇だから
音楽聞こっかな…。
私はスマホを取り出した。
｢…あれ？充電ないじゃん。｣
私のスマホの充電は0%だった。
考えてみれば昨日から充電は
全くしてなかった。
私は尚更早く家に帰りたくなる。
空はもう暗くてざっと9時くらいだろうか？
元の家で意外と時間を費やしてしまった。
今はなんだか早く辰哉に会いたくて…。
私は小走りで家へと向かった。
そして見えた小さな公園。
きっとこの公園にもお世話になる事は
もう無いかもしれない。
｢…今までありがとうね。私のベンチさん。｣
私は返事もしないベンチに挨拶をして
急いで帰った。
私は今日なんだか人生の断捨離をした気分。
要らない物は捨てて大事な物を選んだ。
今の私にとっての大事な物は
新しい”家族”だから。
ついに家の前まで着くと、
家の窓から光が漏れていた。
なんだそんな遅くなんないじゃん。
もう帰ってきてるんだ。
…嬉しい。
私はカバンから合鍵を取り出した。
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Yuu.memesaku(プロフ) - なべふかさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです…！是非最後までご愛読頂けると嬉しいです。 (2020年4月4日 12時) (
レス) id: b878421b1e (このIDを非表示/違反報告)
なべふか - コメント失礼します!!アイドルのふっかと同棲とかもう…!!幸せすぎます!!ありがとうございます!!更新頑張って下さい!! (2020年4月4日 12時) (レス) id: 2b33477f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yuu.memesaku | 作成日時：2020年4月1日 0時
