8コール 美青年 ページ9
*
…どうしよう、
入店してくるなり、私の隣のテーブルに座った彼
思ったより近くに座ったものだから、私は少し、いやかなり動揺していた
そう、もともと乏しい語彙力を更に失うくらいには
チラリ、とバレないように美青年を見やる
……驚くほど整った顔
その頰にかかる橙色の髪の毛はサラサラで、触れたらさぞかし柔らかそうである(やだ何考えてるんだ私)
強気な光を帯びたその瞳は、宝石をはめ込んだみたいに透き通った蒼色で、本当に綺麗
身を包んでいる黒い服は高級そうだが、彼はしっかりと着こなしている
髪や瞳の色もそうだが、彼は私のいる世界から離れた、何処か近寄りがたい雰囲気を纏っていて、なんていうか…
……かっこいい
純粋にそう思った
身長は小さめだがそんな事彼にかかれば、俗に云う “ギャップ萌え” を生み出す材料になってしまうのだろう
ほらほら、店の奥に座っているマダム達が彼を見て、微笑みながらヒソヒソ話をしていらっしゃる
わかりますよ、マダム達。こんな美青年、なかなかいません。
うん、うん、と一人心の中で莫迦みたいに共感していると、
私が見つめすぎたのだろうか、彼がチラリと此方を見た
目が合う前に彼から視線を逸らし、隠す様に珈琲を口に含む
…見てた事ばれてないといいけど
ちょっとした恥ずかしさから、心臓が早鐘を打った
「あ、あの…!ご注文はお決まりでしょうか……?」
と、お店の女給さんが彼に声をかけた事で、彼の視線は彼女の方へ
その女給さんは可愛い子だった。彼を見て頰をほんのり赤らめていらっしゃる
…こっち迄照れちゃうよ
………きっと、彼みたいな人には、ああいう美人さんがお似合いなんだろうなぁ
ふと、何故かそんな事を考えてしまった
………私なんか
彼に堂々と話しかける事ができる、その可愛らしい女給さんが羨ましかったり、そうじゃなかったり
なんとも云えなくて、とりあえずまた珈琲を一口含む
……やっぱり、ちょっと苦いかもなぁ
そんな私の事なんて知らず、彼は注文をするべく口を開いた
「______珈琲を一杯、頼む」
瞬間。
まだ口内に残っていた珈琲を全て気管に流し込みそうになり、私はむせた
……この声。
この素敵な声、聞いたことある
うん、ざっと昨日ぐらいに聞いた気がする
*
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水瀬琥雪 - うぅ…好きです!!こう言う恋も素敵だなぁ… (2022年12月21日 22時) (レス) @page46 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» そうなんですね。ありがとうございます。 (2022年3月1日 19時) (レス) id: 71a9499b2d (このIDを非表示/違反報告)
六 - もちさん» あ、混乱させてすみません。もう自分が通報したので消えましたが、この葵って人、謝った後「なんて言うとでも思った?wwおばさんww」って返しててあまりに失礼だと思ったので介入しただけです… (2022年2月26日 0時) (レス) id: e32b92c4c5 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» どういう状況すか?よくわからないんですけど。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: 5b4b0a933b (このIDを非表示/違反報告)
六 - 名無しさん» 名無し、お前は間違ってないぞ。評価1000評越えが羨ましいキッズが妬んでアンチコメしたらばっちり言い返されてキレてるだけだからwこういう奴は相手する価値ない。無視しようぜ。 (2022年2月8日 1時) (レス) id: 7b7a62c26c (このIDを非表示/違反報告)
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