間違い電話がかかってきた【文スト】

4コール 質問攻め ページ5

*


『えぇと…』



説明しろ、と急に云われても困る


つい口ごもると、電話の向こうから少し苛立ったような声が聞こえた


「手前は誰だ。なんで手前が、芥川の携帯を持っているんだよ」



……とんだ濡れ衣だ




『…ち、違います！』


「はぁ？何が違ぇんだよ？」



不機嫌に返された声

いくら素敵な声でも、ここまで乱暴な口調だと怯んでしまう



しかし、誤解を解かないともっと大変な事になるのは目に見えていた

否、耳に聞こえていた





『あ、貴方が！電話番号を間違えているんです！』


必死になってうったえる






が、勇気を出して声を振り絞ったにも関わらず、返事は返ってこないままで





『…あれ、もしもし？』




「……………電話番号は？」



『へ？』



ボソリ、と吐かれた言葉を聞き返すと、今度はまた苛立った声




「手前の電話番号を云えっつってんだよ！」




『あ！す、すみません！えと…』



焦って何度かかみながらも番号を答えると「マジかよ…」と今度は困ったような声が




「…少し違ぇ……って事は、本当に一般人にかけちまったってかァ、俺……？」

ブツブツとそんな事を唱える彼

どうやらやっと状況を把握したようである




ひとまず、これで誤解は…





「おい、手前」

『は、はいっ⁉』


急に彼に声をかけられ、自然に背筋が伸び、声が裏返った




「今からいくつか質問する。長生きしたきゃぁ、正直に答えろ」


『え？』


一体全体これから何が始まるのだろう


というか、今私脅されて…




「一つ目の質問」


『は！はいっ！』


「いちいち返事すんな、うざってぇ」


『ご！ごめんなさ…』


はあ、と大袈裟な溜め息が聞こえる


あの、正直云って、怖いです





「しきり直して、質問だ。……一応確認する。“手前は一般人か？”」


『…い、一般人です』


もっと云えば、学生。大学に通っている身だ




なんだ、質問ってこんな事か、私の事を喋れば万事解決じゃん




油断したのも束の間、





「質問、二つ目。“俺の職業は？”」


『……』


いきなり、爆弾を投げられた






…これは、マフィアと答えていいのだろうか？



今知らない振りをすれば全てチャラになったり…



「正、直、に！答えろよ」


しないな





『…ま、マフィアの……幹部さん？』


私は諦めて答えた



ふん、と鼻で返される。これは肯定ととっていいのだろう





「じゃぁ、次。三つ目」



まだあるの？泣いていい？


*

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