みそじ あまり ななつ ページ39
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駅まで歩いていって、定期を出そうとカバンを漁ると、ふとカバンが軽いことに気づく。
不思議に思ってカバンの中身をひとつひとつ確かめると、タオルが無いことに気がついた。
そうだ。あの時、京也に渡しちゃったんだ。
一瞬取りに行こうかと考えたが、そんな勇気は私にはない。 あるんなら今頃、彼に私のことを打ち明けているだろう。
まあなくした訳では無いし、赤葦京治に貰ったものがそのまま彼の子供のためになるのなら、それでもいいと思った。
大切なものだったけれど、彼に貰ったものは何もあれだけというわけではないし。
彼が買ったものなのだから、彼の子供である京也に使うのが筋というもののような気もしてきたし。
そう自分を納得させて、改めて改札を通ろうとする。
──と、次の瞬間。
「!」
ぐいっと肩が強く後ろに引かれて、私は思わずよろめいた。
何事かと思って後ろを振り返ると、そこには彼が──赤葦京治が、いた。
「え……」
呆然として声を漏らすと、赤葦京治は「これ……」といってタオルを見せた。
もしかして、届けに来てくれたのだろうか。
ここまでわざわざ?
こんな、汗だくになって?
「……あの、もしかして、届けに来てくれたんです、か?」
そろそろと伺うように彼を見上げる。
赤葦京治はタオルを一瞥すると、私の問いには答えずにこういった。
「これは、君のもの?」
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麗夢 - 前見た時本当に感動してまた読みに来ました。私が知っている夢小説の中で1番大好きな作品です! (3月1日 23時) (レス) @page44 id: 6ebe956d7c (このIDを非表示/違反報告)
にっこり(プロフ) - 感動したやっぱりお父さんって大事だなぁ後光輝君もいいな! (2021年8月25日 7時) (レス) id: ec120adb39 (このIDを非表示/違反報告)
藍琉(プロフ) - とても感動しました!!!!泣きながら読んでました!この作品に出会えて良かったです!ありがとうございました!!!! (2020年6月11日 0時) (レス) id: e2f068ce6d (このIDを非表示/違反報告)
芥川とミルクティ - 何度見ても泣きます。もう最後なんか、嗚咽が止まりません。本当に感動する素晴らしい作品です。作者様のとても美しい文章に惹き付けられます。 (2020年3月14日 20時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
哀駒(プロフ) - 完結おめでとうございます^^もう泣きすぎて明日目腫れそうです…w (2020年3月10日 22時) (レス) id: 677b3c59a5 (このIDを非表示/違反報告)
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