みそじ あまり いつつ ページ37
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「きっとお父さんも心配してるよ。だからお家に帰ろう？」
首を傾げてそういうと、京也はふるふると首を横に振った。
どうやら、帰って怒られることを懸念しているようだ。
でも、そんなこといってもずっとここにいるわけにはいかないし、彼だって──赤葦京治だって、きっとすごく心配しているはずだ。
彼らは、家族なのだから。
「きちんと謝れば、お父さんも許してくれるよ。だから帰ろう？」
「……
京也は頑として首を縦に振らない。
どうすればいいのか、私は困り果ててしまった。
あまり小さい子の扱いには慣れていないのだけれど、とりあえず少し考えて、私は別の作戦に移る。
「……それなら、お姉ちゃんも一緒に行ってあげようか」
「え？」
「私も、京也くんのお父さんに一緒に謝ってあげる。だから早く帰ろう？ きっとお父さん、すごくすごく心配しているはずだよ」
私がそういうと、京也は黙り込んだ。
これはいけるか？ とそう思ったとき、京也が突然バッと顔を上げた。 そして、不安そうに早口で言葉をまくし立てる。
「……なんで、なんでそんなことわかるの？ だってお父さん怒ってたよ？ もうぼくのこと、嫌になってるかもしれないよ？ もっといい子が欲しいって、ぼくのこといらないって、そう思ってるかもしれないよ？」
京也はくしゃりと顔を歪めて、ぎゅうっと手を強く握った。
──ああ、そうか。 と私は理解する。 この子はきっと、赤葦京治に怒られた“後”が怖いんだ。
赤葦京治が、自分のことを嫌いになってしまうんじゃないか。 捨てられてしまうんじゃないかって、怖いんだ。
ああ、そうか。
「……ねえ、京也くん」
震える身体を抱きしめて、そっと彼の頭を撫でる。
「京也くんのお父さんは、京也くんのことを一度でも嫌いだっていったことがあるの？」
驚いたようにぱちぱちと瞬きながら、京也は恐る恐る首を振った。
「なら、きっと大丈夫。お父さんは、京也くんを一生懸命探してるはずだよ。──だって、父親って、そういうものでしょう？」
根拠なんてないけれど、理由なんてないけれど、でも父親って、そういうものでしょう。
だから、そんな悲しいこといわないで。
私が叶わなかったその場所を、どうか簡単に捨てようとしないで。
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麗夢 - 前見た時本当に感動してまた読みに来ました。私が知っている夢小説の中で1番大好きな作品です！ (3月1日 23時) (
レス) @page44 id: 6ebe956d7c (このIDを非表示/違反報告)
にっこり(プロフ) - 感動したやっぱりお父さんって大事だなぁ後光輝君もいいな！ (2021年8月25日 7時) (レス) id: ec120adb39 (このIDを非表示/違反報告)
藍琉(プロフ) - とても感動しました！！！！泣きながら読んでました！この作品に出会えて良かったです！ありがとうございました！！！！ (2020年6月11日 0時) (レス) id: e2f068ce6d (このIDを非表示/違反報告)
芥川とミルクティ - 何度見ても泣きます。もう最後なんか、嗚咽が止まりません。本当に感動する素晴らしい作品です。作者様のとても美しい文章に惹き付けられます。 (2020年3月14日 20時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
哀駒(プロフ) - 完結おめでとうございます^^もう泣きすぎて明日目腫れそうです…w (2020年3月10日 22時) (レス) id: 677b3c59a5 (このIDを非表示/違反報告)
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