息 ページ3
「え」
「ぎゃっ」
勢いよく飛び出したから、北さんと正面衝突。目安175センチくらいの男性にぶつかって、私は社長室に尻餅をついた。
「大丈夫ですか、Aさん」
「え、あ、はい。すいません北さん。それでは失礼します...」
「いや、失礼しちゃいかんやろ」
よく分からないが、北さんのツボに入ったらしく、笑いを堪えていた。っていうか北さん関西弁じゃん。流石大阪支店長。
しかし、無慈悲に笑いながら、私が逃げ出した客席に座らせられた。
「ということで、絶対に譲らない親子の完成と...」
侑のことは友人にさえ言っていないため、宮侑の名前は伏せて事情を説明した。勿論父は不機嫌を極めるし、北さんは苦笑い。まぁ、こんな親子喧嘩に巻き込まれてもいい迷惑だろう。申し訳ないし、見苦しいとこを見せて、恥ずかしい。
「それでも、僕はAさんの事、幸せにしますよ。今の彼氏さんより」
「いや、そういう問題じゃなくてですね。婚約者がいるんです私」
「A。もうお父さんをこれ以上困らせないでくれ」
お父さんを困らせないでくれ
私はこの言葉を【呪いの言葉】と呼んでいる。
父から見たら出来損ないの私。聞き分けの悪い私。いつまでたっても親孝行しない私。
友達の悪口をTwitterに書き込んで、叱られたあの日。
高校受験で、第一志望校に落ちたあの日。
就職の時、パパのいる会社になんか入りたくないと言ったあの日。
両手から溢れるほど、怒られて。そのたびに私は何かを諦めて、切り捨ててきた。
でも、私は。これだけは。宮侑だけは手放したくない。
あの家に帰りたい。またあの腕に抱かれて寝たい。美味しいものを作ってあげたい。そして、生涯を共にしたい。
それさえも、私は許されないのか。
困っとるの、私やで。
さよなら、侑。
助けに来てよ、絶対よ。
私、別の人の彼女になるよ。
「結婚しても会社は辞めない。私の婚約者だった人には何も知らせない。なにも手を出さない。結婚式が終わるまで、籍も入れない。式の招待状ぎりぎりまで、誰にも言わない。これを守ってくれるなら...私は北さんと結婚してもいい。あ、あと今日と明日公休にしてくれないと結婚しない」
「どんな現金な奴や。....僕はこれで構いませんが。よろしいでしょうか、社長」
「おう、籍をいれるなら何だって構わん。でも早く今の家は出てくれ、2日以内だ」
失礼します。二人で社長室を出た。その瞬間、私は苦痛で顔が歪んだ。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (
レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます！！自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした！最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね！！小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます！！！初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…！侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです！（？）改めまして本当におめでとうございます！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本郷ゆい | 作者ホームページ：http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時：2019年11月11日 22時
