芋 ページ17
「キャッサバ芋」
「タピオカです」
「そう、それや。高校生の時、後輩に飲まされた事あるねん。旨かった」
「え、意外です。食いもんじゃないとか言って、嫌いとか言いそうなイメージありますよ」
「それ後輩と同じ事言うとるで」
家具も無事注文し終わり、小腹が空いてしまったので、何か口にしたいと話していたところ、タピオカ屋さんを発見。
高校から大学生の頃、よくタピオカ飲んでたな、と淡い思い出を巡らせていたところ、北さんがキャッサバ芋と言い出した。
二つ買ってフードスペースで口にする。モチモチなのにプリッとしていて、なんとも形容しがたい食感。
北さんは美味しいなぁ、と満足げだった。
「そう言えばばぁちゃんがこれ、テレビで見て。飲んでみたいって言ってた」
「のど詰まらせないといいんですけど。そういえば.....結納のお話もありますし、北さんの両親にもお会いしないと....」
「俺、家族ばぁちゃんしかいないで」
「え、あ、そうなんですか。...じゃあおばぁちゃんに会いに行きましょう、タピオカ持って」
小さい頃に交通事故で亡くなった両親の代わりに、育ててくれたおばぁちゃんの話をする北さん。
なんと高校生の頃から、北さんにお嫁さんが出来るのを楽しみにしていたそうで。
「だから、Aさんと結婚したら、ばぁちゃんも喜んでくれるで」
「なんかプレッシャー」
北さんが私の黒糖抹茶も飲みたいと申し出たので、彼のミルクティーと交換。
間接キッス、なんてもう口に出して騒ぐ年齢ではないが、なんとなく頬が赤く染まる。
彼は無自覚だったのかもしれないが、私の頭の中は間接キッスでいっぱいだ。キッス。
不思議な感覚。永いこと、同じ男性に添い続けたからか、男の免疫が無いからか。
手を握られるも、頭を撫でられるも、間接キッスも。
変に心臓がドキドキして、頭が七色になる。お花がいっぱい咲いてる感じ。
些細な事だが、その一つ一つを拒んでいない私も、不思議だ。
もっと突っぱねて、壁を作って。家庭内別居的な何かを想像していた。
だがしかし、こうして北さんと出掛けたり、朝晩同じテーブルでご飯を食って、一緒のベッドで寝たり。
半分は北さんの意向だったり、環境の成り行きだったりするが、私が今笑えているのは、北さんのおかげだと思っている。
空っぽの心に北さんがはまっていく音がした。
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同級生の男子のスパイク受けて、左肩を脱臼しました!
男子、ヤバイ。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます!!自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした!最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです!! (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました! (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね!!小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます!!!初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…!侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです!(?)改めまして本当におめでとうございます! (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:本郷ゆい | 作者ホームページ:http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時:2019年11月11日 22時